ウタが麦わらの一味に入ってすぐのこと。
みんなで甲板に集まってルフィ、ジンベエ、ブルック、ゾロ、ナミ、ウタ、ロビン、サンジ、フランキー、チョッパー、ウソップの順に円になって座り、互いに自己紹介をしていた。
サンジ「同い年だね〜♡ウタちゃ〜ん♡」
ウタ「そうだね」ニコッ
サンジ「♡♡♡」ドキーン
ウソップ「そうだ!なにか歌歌ってくれよ!プリンセスウタ!」
ウタ「え!?」
チョッパー「おれも聞きてぇ!!」
ナミ「私も!!」
ブルック「私もです!あの美しい歌声、もう一度聞きたいですね!あっ!!ガイコツだから耳はないんですけども!!ヨホホホ!!」
フランキー「おれも頼むぜ!」
ロビン「お願いね」
ウタ「……わかった!歌うわ!」
ウタ(……な…なに歌おう…)チラッ
ルフィ「……」
ウタ(……よし…!)
ウタ「みんな聞いてください。『風のゆくえ』…!」
ウタは目を閉じ、歌い始めた。
【Ado】風のゆくえ(ウタ from ONE PIECE FILM RED) - YouTube
「この風は どこからきたのと♪」
「問いかけても 空は何も言わない♪」
「この歌は どこへ辿り着くの♪」
「見つけたいよ 自分だけの答えを♪」
「まだ知らない海の果てへと 漕ぎ出そう♪」
「ただひとつの夢 決して譲れない♪」
「心に帆を揚げて 願いのまま進め♪」
「いつだって あなたへ 届くように 歌うわ♪」
「大海原を駆ける 新しい風になれ♪」
もはや形容することができないほどのその素晴らしい歌声はサニー号全体に響き渡り、錯覚か幻かはわからないが、ウタは光の粒子を纏っていた。
「それぞれに 幸せを目指し♪」
「傷ついても それでも 手を伸ばすよ♪」
「悲しみも強さに変わるなら♪」
「荒れ狂う嵐も超えていけるはず♪」
「信じるその旅の果てで また 会いたい♪」
「目覚めたまま見る夢 決して醒めはしない♪」
「水平線の彼方 その影に手を振るよ♪」
「いつまでも あなたへ 届くように 歌うわ♪」
「大きく広げた帆が 纏う 青い風になれ♪」
歌に倣うように優しく穏やかな海風がみんなの体を撫でる。
ずっと目を閉じて歌っていたウタだが…ゆっくりと目を開けて正面にいる人を見ながら…いいや…その人を想いながらラストのサビを歌う。
「ただひとつの夢 誰も奪えない♪」
「私が消え去っても 歌は響き続ける♪」
「どこまでも あなたへ 届くように 歌うわ♪」
「大海原を駆ける 新しい風になれ♪」
しーん………………
ウタ「あ…あの……」
チョッパー「うぉぉぉぉぉ!!!!!」
ウソップ「すげえええええ!!!!!」
サンジ「♡♡ウタちゅわぃーーーーーん♡♡♡♡♡」
ゾロ「………へぇ」
ジンベエ「何と綺麗な歌声じゃ…」
フランキー「いい歌詞だなぁ…!泣ける……!」
ナミ「私も涙が……」
ロビン「さすがプリンセスウタね」ウフフ
ブルック「素晴らしい歌ですね…!!!骨抜きにされました……!!」
いつもなら「って骨抜きにされたらアフロだけになりますよ!!」とか言うブルックも今はスカルジョークをいえないほどに感動していた。
ウタ「よ…よかった…!みんなありがとう!すっごく嬉しい!」
ウタはルフィを見る。
ウタ「ル…ルフィ…!ど…どうだった?」
ルフィ「」
ルフィは微動だにしなかった。
ウタ「ルフィ…?」
麦わら帽子を深く被り、俯いているため顔が見えない。
サンジ「お…おい。こいつ寝てんじゃねぇだろうな」
ウタ「う、うそでしょ!ちょっとルフィ!」
ウタはルフィに近づき、被っている麦わら帽子を取った。
ウタ「え……!?」
ルフィ「………」ポロポロ
ウタ「ど、どうしたのルフィ!?な、何で泣いてるの!?」
ルフィ「いや………なんか…ひさしぶりにおまえのその歌を聴いたら…ウタと出会ってから今までの12年を思い出しちまって…」ポロポロ
ウタ「……えっ……」
ルフィ「ウタとたくさん話したり、勝負したり、探検したりして毎日すげぇ楽しかったんだ…」
ルフィ「なのにウタが突然いなくなってよ…何もわからないまま大切な人を失った。それが悲しくて、悔しくて、辛かった…」
ウタ「…ルフィ…」
ルフィ「そして今度は俺を助けるためにシャンクスが腕を失っちまった…シャンクスは気にするなって言ってくれたけど…『俺のせいでシャンクスが』って自分を責めた…」
ルフィ「シャンクスからその麦わら帽子を預かって別れた後、エースとサボの2人の兄ちゃんができたんだけどサボは知らないところで殺された」
ルフィ「また知らないところで失ったんだ…」
ウタ「………」
ルフィ「もう失わないように俺は10年修行して強くなって、仲間もできて新しい技も考えた…けどシャボンディで仲間たちを消されて離れ離れになっちまった…」
麦わらの一味「………」
ルフィ「その後すぐエースが目の前で殺されてしまったんだ………」
ルフィ「もう二度と失わないように…大切なもんを守れるように……俺はまた2年修行したんだ…」
ウタ「………」
ルフィ「なんかごめんな。こんな話して」
ウタ「ううん…大丈夫」
ルフィ「……でも辛いことばかりじゃなかった!みんなと出会ったし、サボも生きてた!それにいろんなところに行って、いろんな奴らに会って、いろんなもんを食った!」
ルフィ「そしてウタとも再会して、今は俺の仲間になってくれてる!」
ウタ「ルフィ…!」
ルフィ「さっきの歌、昔よく歌ってたよな。おまえのその歌大好きだったんだ!ひさしぶりに聴いたらなんか楽しかったことや悲しかったことを思い出しちまって、そしたらいつの間にか泣いてた!それだけだ!!」シシシ!
ウタ「よかった……私なんか悪いことしちゃったのかと…」
ルフィ「そんなわけねぇだろ!」
ウタ「なーんだ。12年経ってちょっとは大人になったかと思えばまだまだ泣き虫だねー」クスクス
ルフィ「な…俺は泣いてねぇよ!!!」
ウタ「出た!負け惜しみ〜!」
麦わらの一味「あははは!」
ルフィ「おい!みんなまで…!くそ〜」
ウタ「ふふっ。……でもルフィ、12年間いろいろあったんだね……」
ルフィ「………」
ウタ「……」
ルフィ「……………………なぁウタ」
ウタ「なに?ルフィ」
ルフィ「俺おまえが好きだ」
ウタ「え…!?///」
ウタは一瞬ドキッとしたが、ルフィにかぎってそれはないと思った。
ウタ「う、うん!私も好きだよ!」
ルフィ「違う」
ウタ「え…?」
ルフィ「俺昔は海賊をよく思ってなかった。でも赤髪海賊団がフーシャ村にやってきて、その海賊たちは酒飲みまくって、バカ騒ぎしてうるさかったけど、優しくて、強くて、かっこよくて、自由だった。そして歌が好きだった」
ルフィ「じいちゃんにいつも聞かされていた悪い海賊とは違っていたんだ」
ルフィ「んで、その中におまえがいた」
ルフィ「ウタはこれまで行ってきたところ、見てきたものを教えてくれた。おまえの夢も教えてくれた」
ウタ「うん…」
ルフィ「ウタがいろいろ話してくれて、俺も海賊に憧れて海に出て、そしてゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、ロビン、フランキー、ブルック、ジンベエと出会った。ウタと仲良くなれたから、エースやサボとも仲良くなれた」
ウタ「うん…」
ルフィ「他にもいろんなやつらに出会って友達になれたんだ」
ウタ「うん…」
ルフィ「おまえの新時代を聞いて、俺も新時代を作ろうと思った。ウタは俺に夢もくれたんだ」
ウタ「…うん…」
ルフィ「ウタは俺のすべてだ」
ウタ「…え……」
ルフィ「ウタはときどき姉ちゃんぶって俺をからかってくるけど、おまえはこの世界の誰よりも優しい。いろんなやつに会ってきたおれが言うんだ、間違いねぇ」
ウタ「///」
ルフィ「歌を歌っているときのウタはなによりも輝いていて綺麗だ」
ウタ「え…え…///」
ルフィ「俺はウタと一緒にいるときが一番楽しい。だから夢を叶えて新時代を作った後もずっと一緒にいたい」
ウタ「……//////」ドキドキ
ルフィ「ウタ………!おれはおまえが好きだ。一人の女として」
ウタ「//////」ボンッ!
ルフィ「おれとこれからもずっと一緒にいてくれるか?」
ウタ「えっ…あっ…///…あの…///」ドキドキ
ルフィ「どうだ?」
ウタ「わ…私でよければ…///…よろしくおねがいします…!///」ドキドキ
ルフィ「しししし!!ああ!よろしくな!」ニカッ
麦わらの一味「…………」
「「「「「えええええええっっっ!!!!」」」」」
ウソップ「マジかよ…!…ル…ルフィが…!」
ナミ「うそ…!//」
ロビン「あらあら…」
チョッパー「すげぇぇ!!ルフィとウタ付き合うのか!?」
ウタ「///」ボシュッ
フランキー「スーパーめでてぇな!!」
ブルック「おめでとうございます!私、胸の高鳴りが止まりません!!あっ…私胸ないんですけど!!ヨホホホ!!」
ジンベエ「ワッハッハ!ルフィ!ウタ!おめでとう!」
ロビン「おめでとう、二人とも」ウフフ
ウソップ「ルフィにそんな感情あったんだな…」
サンジ「」チーン
ゾロ「とうとうコックもあの世行きか」サヨウナラ
サンジ「行くか!!藻!!」💢
ゾロ「あァ!?」💢
ルフィ「ししし!!ウタ!!」
ウタ「?」///
ルフィ「一緒に作るぞ!!新時代!!!」
ウタ「…!!うん!!!!」