L×U

様々な知識や小説、日記を投稿します。

ONE PIECE『ひたすらにあなたへ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタが麦わらの一味に入ってすぐのこと。

 


みんなで甲板に集まってルフィ、ジンベエ、ブルック、ゾロ、ナミ、ウタ、ロビン、サンジ、フランキー、チョッパー、ウソップの順に円になって座り、互いに自己紹介をしていた。

 


サンジ「同い年だね〜♡ウタちゃ〜ん♡」

 


ウタ「そうだね」ニコッ

 


サンジ「♡♡♡」ドキーン♡

 


ウソップ「そうだ!なにか歌歌ってくれよ!プリンセスウタ!」

 


ウタ「え!?」

 


チョッパー「おれも聞きてぇ!!」

 


ナミ「私も!!」

 


ブルック「私もです!あの美しい歌声、もう一度聞きたいですね!あっ!!ガイコツだから耳はないんですけども!!ヨホホホ!!」

 


フランキー「おれも頼むぜ!」

 


ロビン「お願いね」

 


ウタ「……わかった!歌うわ!」

 


ウタ(……な…なに歌おう…)チラッ

 


ルフィ「……」

 


ウタ(……よし…!)

 


ウタ「みんな聞いてください。『風のゆくえ』…!」

 


ウタは目を閉じ、歌い始めた。

 

 

 

 


「この風は どこからきたのと♪」

 

 

 

 


「問いかけても 空は何も言わない♪」

 

 

 

 


「この歌は どこへ辿り着くの♪」

 

 

 

 


「見つけたいよ 自分だけの答えを♪」

 

 

 

 


「まだ知らない海の果てへと 漕ぎ出そう♪」

 

 

 

 


「ただひとつの夢 決して譲れない♪」

 

 

 

 


「心に帆を揚げて 願いのまま進め♪」

 

 

 

 


「いつだって あなたへ 届くように 歌うわ♪」

 

 

 

 


「大海原を駆ける 新しい風になれ♪」

 

 

 

 


もはや形容することができないほどのその素晴らしい歌声はサニー号全体に響き渡り、錯覚か幻かはわからないが、ウタは光の粒子を纏っていた。

 

 

 

 


「それぞれに 幸せを目指し♪」

 

 

 

 


「傷ついても それでも 手を伸ばすよ♪」

 

 

 

 


「悲しみも強さに変わるなら♪」

 

 

 

 


「荒れ狂う嵐も超えていけるはず♪」

 

 

 

 


「信じるその旅の果てで また 会いたい♪」

 

 

 

 


「目覚めたまま見る夢 決して醒めはしない♪」

 

 

 

 


「水平線の彼方 その影に手を振るよ♪」

 

 

 

 


「いつまでも あなたへ 届くように 歌うわ♪」

 

 

 

 


「大きく広げた帆が 纏う 青い風になれ♪」

 

 

 

 


歌に倣うように、優しく穏やかな海風がみんなの体を撫でる。

 

 

 

 


ずっと目を閉じて歌っていたウタだが…ゆっくりと目を開けて正面にいる人を見ながら…いいや…その人を想いながらラストのサビを歌う。

 

 

 

 


「ただひとつの夢 誰も奪えない♪」

 

 

 

 


「私が消え去っても 歌は響き続ける♪」

 

 

 

 


「どこまでも あなたへ 届くように 歌うわ♪」

 

 

 

 


「大海原を駆ける 新しい風になれ♪」

 

 

 

 


しーん………………

 

 

 

 


ウタ「あ…あの……」

 


チョッパー「うぉぉぉぉぉ!!!!!」

 


ウソップ「すげえええええ!!!!!」

 


サンジ「♡♡ウタちゅわぃーーーーーん♡♡♡♡♡」

 


ゾロ「………へぇ」

 


ジンベエ「何と綺麗な歌声じゃ…」

 


フランキー「いい歌詞だなぁ…!泣ける……!」

 


ナミ「私も涙が……」

 


ロビン「さすがプリンセスウタね」ウフフ

 


ブルック「素晴らしい歌ですね…!!!骨抜きにされました……!!」

 


いつもなら「って骨抜きにされたらアフロだけになりますよ!!」とか言うブルックも今はスカルジョークをいえないほどに感動していた。

 


ウタ「よ…よかった…!みんなありがとう!すっごく嬉しい!」

 


ウタはルフィを見る。

 


ウタ「ル…ルフィ…!ど…どうだった?」

 


ルフィ「」

 


ルフィは微動だにしなかった。

 


ウタ「ルフィ…?」

 


麦わら帽子を深く被り、俯いているため顔が見えない。

 


サンジ「お…おい。こいつ寝てんじゃねぇだろうな」

 


ウタ「う、うそでしょ!ちょっとルフィ!」

 


ウタはルフィに近づき、被っている麦わら帽子を取った。

 


ウタ「え……!?」

 


ルフィ「………」ポロポロ

 


ウタ「ど、どうしたのルフィ!?な、何で泣いてるの!?」

 


ルフィ「いや………なんか…ひさしぶりにおまえのその歌を聴いたら…ウタと出会ってから今までの12年を思い出しちまって…」ポロポロ

 


ウタ「……えっ……」

 


ルフィ「ウタとたくさん話したり、勝負したり、探検したりして毎日すげぇ楽しかったんだ…」

 


ルフィ「なのにウタが突然いなくなってよ…何もわからないまま大切な人を失った。それが悲しくて、悔しくて、辛かった…」

 


ウタ「…ルフィ…」

 


ルフィ「そして今度はおれを助けるためにシャンクスが腕を失っちまった…シャンクスは気にするなって言ってくれたけど…『おれのせいでシャンクスが』って自分を責めた…」

 


ルフィ「シャンクスからその麦わら帽子を預かって別れた後、エースとサボの2人の兄ちゃんができたんだけどサボは知らないところで殺された」

 


ルフィ「また知らないところで失ったんだ…」

 


ウタ「………」

 


ルフィ「もう失わないようにおれは10年修行して強くなって、仲間もできて新しい技も考えた…けどシャボンディで仲間たちを消されて離れ離れになっちまった…」

 


麦わらの一味「………」

 


ルフィ「その後すぐエースが目の前で殺されてしまったんだ………」

 


ルフィ「もう二度と失わないように…大切なもんを守れるように……おれはまた2年修行したんだ…」

 


ウタ「………」

 


ルフィ「なんかごめんな。こんな話して」

 


ウタ「ううん…大丈夫」

 


ルフィ「……でも辛いことばかりじゃなかった!みんなと出会ったし、サボも生きてた!それにいろんなところに行って、いろんな奴らに会って、いろんなもんを食った!」

 


ルフィ「そしてウタとも再会して、今はおれの仲間になってくれてる!」

 


ウタ「ルフィ…!」

 


ルフィ「さっきの歌、昔よく歌ってたよな。おまえのその歌大好きだったんだ!ひさしぶりに聴いたらなんか楽しかったことや悲しかったことを思い出しちまって、そしたらいつの間にか泣いてた!それだけだ!!」シシシ!

 


ウタ「よかった……私なんか悪いことしちゃったのかと…」

 


ルフィ「そんなわけねぇだろ!」

 


ウタ「なーんだ。12年経ってちょっとは大人になったかと思えばまだまだ泣き虫だねー」クスクス

 


ルフィ「なっ……おれは泣いてねぇよ!!!」

 


ウタ「出た!負け惜しみ〜!」

 


麦わらの一味「あははは!」

 


ルフィ「おい!みんなまで…!くそ〜」

 


ウタ「ふふっ。……でもルフィ、12年間いろいろあったんだね……」

 


ルフィ「………」

 


ウタ「……」

 


ルフィ「……………………なぁウタ」

 


ウタ「なに?ルフィ」

 


ルフィ「おれ、おまえが好きだ」

 


ウタ「え…!?///」

 


ウタは一瞬ドキッとしたが、ルフィにかぎってそれはないと思った。

 


ウタ「う、うん!私も好きだよ!」

 


ルフィ「違う」

 


ウタ「え…?」

 


ルフィ「おれ昔は海賊をよく思ってなかった。でも赤髪海賊団がフーシャ村にやってきて、その海賊たちは酒飲みまくって、バカ騒ぎしてうるさかったけど、優しくて、強くて、かっこよくて、自由だった。そして歌が好きだった」

 


ルフィ「じいちゃんにいつも聞かされていた悪い海賊とは違っていたんだ」

 


ルフィ「んで、その中におまえがいた」

 


ルフィ「ウタはこれまで行ってきたところ、見てきたものを教えてくれた。おまえの夢も教えてくれた」

 


ウタ「うん…」

 


ルフィ「ウタがいろいろ話してくれて、おれも海賊に憧れて海に出て、そしてゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、ロビン、フランキー、ブルック、ジンベエと出会った。ウタと仲良くなれたから、エースやサボとも仲良くなれた」

 


ウタ「うん…」

 


ルフィ「他にもいろんなやつらに出会って友達になれたんだ」

 


ウタ「うん…」

 


ルフィ「おまえの"新時代"を聞いて、おれも"新時代"を作ろうと思った。ウタはおれに夢もくれたんだ」

 


ウタ「…うん…」

 


ルフィ「ウタはおれのすべてだ」

 


ウタ「…え……」

 


ルフィ「ウタはときどき姉ちゃんぶっておれをからかってくるけど、おまえはこの世界の誰よりも優しい。いろんなやつに会ってきたおれが言うんだ、間違いねぇ」

 


ウタ「///」

 


ルフィ「歌を歌っているときのウタはなによりも輝いていて綺麗だ」

 


ウタ「え…え…///」

 


ルフィ「おれはウタと一緒にいるときが一番楽しい。だから夢を叶えて"新時代"を作った後もずっと一緒にいたい」

 


ウタ「……//////」ドキドキ

 


ルフィ「ウタ………!おれはおまえが好きだ。一人の女として」

 


ウタ「//////」ボンッ!

 


ルフィ「おれとこれからもずっと一緒にいてくれるか?」

 


ウタ「えっ…あっ…///…あの…///」ドキドキ

 


ルフィ「どうだ?」

 


ウタ「わ…私でよければ…///…よろしくおねがいします…!///」ドキドキ

 


ルフィ「しししし!!ああ!よろしくな!」ニカッ

 


麦わらの一味「…………」

 


「「「「「えええええええっっっ!!!!」」」」」

 


ウソップ「マジかよ…!…ル…ルフィが…!」

 


ナミ「うそ…!//」

 


ロビン「あらあら…」

 


チョッパー「すげぇぇ!!ルフィとウタ付き合うのか!?」

 


ウタ「///」ボシュッ

 


フランキー「スーパーめでてぇな!!」

 


ブルック「おめでとうございます!私、胸の高鳴りが止まりません!!あっ…私胸ないんですけど!!ヨホホホ!!」

 


ジンベエ「ワッハッハ!ルフィ!ウタ!おめでとう!」

 


ロビン「おめでとう、二人とも」ウフフ

 


ウソップ「ルフィにそんな感情あったんだな…」

 


サンジ「」チーン

 


ゾロ「とうとうコックもあの世行きか」サヨウナラ

 


サンジ「行くか!!藻!!」💢

 


ゾロ「あァ!?」💢

 


ルフィ「ししし!!ウタ!!」

 


ウタ「?」///

 


ルフィ「一緒に作るぞ!!"新時代"!!!」

 


ウタ「…!!うん!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ルフィ「……」

 


ウタ「……」

 


ルフィとウタは船首に座っていた。

 


ウタ「ふふっ…」スリスリ…♡

 


ルフィ「……」

 


ふたりは共に"新時代"を作るため、偉大なる航路 グランドラインでの航海を続けていた。

 


ルフィ「ウタ…」

 


ウタ「なに…?ルフィ…」

 


ルフィ「お前の歌が聴きたい」

 


ウタ「ふふ。いいよ」

 


スッ……

 


ウタは、歌の伴奏が録音された音貝 トーンダイアルを出した。

 


ルフィ「……」

 


カチッ

 


•*¨*•.¸¸♪

 


ルフィ「……」

 


ルフィは目を閉じ、歌に耳を澄ませる。

 


ウタ「……スゥ…」

 

 

 

 


「この風は どこからきたのと♫」

 

 

 

 


「問いかけても 空は何も言わない♫」

 

 

 

 


「この歌は どこへ辿り着くの♫」

 

 

 

 


「見つけたいよ 自分だけの答えを♫」

 

 

 

 


「まだ知らない海の果てへと 漕ぎ出そう♫」

 

 

 

 


「ただひとつの夢 決して譲れない♫」

 

 

 

 


「心に帆を揚げて 願いのまま進め♫」

 

 

 

 


「いつだって あなた ルフィへ 届くように 歌うわ♫」

 

 

 

 


「大海原を駆ける 新しい風になれ♫」

 

 

 

 


ルフィ「ありがとな。ウタ」

 


ウタ「どういたしまして。言ってくれたらいつでも歌ってあげるから」

 


ルフィ「ああ。ありがとう」

 


ウタ「うん」

 


ウタは嬉しかった。

 


自分のいちばん大切な人に、自分の歌を聴いて喜んでもらえることが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ルフィはウタに歌ってもらうのが好きだった。

 


そのためよく歌のリクエストをしていた。

 


ルフィ「ウタ。また歌ってもらっていいか?」

 


ウタ「うん。もちろんだよ」

 


……スッ……カチッ

 

 

 

 

 

 

 


ジンベエ「……」

 


ジンベエは舵を握り、船の操縦をしていた。

 


ジンベエ(風がない……こりゃ進まんのお……)

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ジンベエ「!」

 


ジンベエ(心が安らぐわい……)

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ジンベエ「」ニコッ…

 


ヒュォォォォ…

 


ジンベエ「おお…!いい風が吹くのう…!」

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「——♫」

 


ルフィ「……」

 

 

 

 

 

 

 


ジンベエ「はは…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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サンジ「」トントントントン

 


サンジはみんなの昼食を作っていた。

 


サンジ(今日はあいつらに特に好評だった海ブタ肉入りホルモンスープ作るか)カチャカチャ

 


サンジ(レディたちにはデザートも……♡ウタちゃんはホイップがたっぷりのパンケーキが好きって言ってたな……)

 


サンジ(にしてもルフィのやろう…あんな天使と付き合うなんて羨ましいぜ…!)グツグツ…

 


サンジ(ナミさんとロビンちゃん、一気に俺のこと好きにならねえかな〜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュウウウウウ…!

 


サンジ(まだ時間がかかりそうだな…)

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


サンジ「!」

 


サンジ(これは……ウタちゃんか…!)

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


サンジ(こりゃ捗るな…!)

 


サンジ「♪」ザクザクザク!ジュワワワ!シュバババババ…!

 


カチャ…!カチャ…!

 


サンジ「野郎ども!飯ができたぞ!」

 


ぞろぞろ…

 


ウソップ「めしだ〜!」

 


チョッパー「めしだ〜!」

 


ジンベエ「豪華じゃのう!」

 


ルフィ「腹減った〜!」

 


ウタ「美味しそ〜!」

 


サンジ「レディたちにはデザートも用意してありますぅ♡」

 


ウタ「ほんと!?」

 


サンジ「はい♡ウタちゃんはホイップまっしましのパンケーキです♡」

 


ウタ「やったー!」

 


ルフィ「おれも食いてえ!」

 


サンジ「そういうと思ってお前の分も用意してある」

 


ルフィ「ほんとか!」

 


ウタ「よかったね、ルフィ!」

 


ルフィ「ああ!」

 


サンジ「へへっ」ニッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ゾロ「フン!…フン!」ブン!…ブン!

 


ゾロはトレーニングルームで日課の鍛錬をしていた。

 


ゾロ「……ふぅ…」

 


ゾロ(こんなところか……)

 


ゾロは汗を拭きながら窓の外を見る。

 


ゾロ(まだ……島には着かねえか……)

 


ゾロ「………」

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ゾロ(ん……?)

 


ゾロは船の甲板を見ると、ウタがルフィに歌を歌っていた。

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「——♫」

 


ルフィ「……」

 

 

 

 

 

 

 


ゾロ「フッ…」ニコッ

 


ゾロはふと前を見る。

 


ゾロ「!」

 


するとゾロはスピーカーを使ってみんなに知らせた。

 


ゾロ「おい!島が見えたぞ!」

 


麦わらの一味「!」

 


ルフィ「ウタ、島だってよ!行くか!新しい冒険!」

 


ウタ「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ブランコのある木

 


ルフィ「ウタ。今日も頼む」

 


ウタ「うん!喜んで!」

 


ザッ

 


ウタ「!」

 


ブルック「ヨホ。私も一緒にいいですか?」

 


ブルックはギターを持っていた。

 


ウタ「ブルック演奏してくれるの!?」

 


ブルック「はい。おじゃまじゃなければ」

 


ウタ「全然!よろしくね!」

 


ブルック「はい♪」

 


ブルックは伴奏に合わせてギターを弾いた。

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ウタ「——♫」

 


ブルック「♪」ジャーン♫

 


ルフィ「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ「すご〜い!さすがソウルキング!上手だね!」

 


ブルック「ヨホホ!いえいえ、ウタさんこそ相変わらず素晴らしい歌声でした」

 


ウタ「えへへ…!ルフィ、どうだった?」

 


ルフィ「最高だった…!ありがとな。2人とも」

 


ウタ「うん!」

 


ブルック「ヨホホ!喜んでいただけて嬉しいです♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ウタがルフィのために歌う歌は、サニー号中に響き渡る。

 


そのため、ルフィはもちろん、他のみんなにも歌声は届いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医務室

 


チョッパー「……」ゴリゴリ…

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


チョッパー「!」

 


チョッパー(ウタだ…!)

 


チョッパー「♪」ゴリゴリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開発室

 


フランキー「」カン!カン!

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


フランキー「…!」

 


フランキー「アウ!ウタか!」

 


フランキー(ルフィに歌ってんだな…!)

 


フランキー「♪」カンカン!カンカン!

 


フランキー(完成だ…!)

 


フランキー(この大砲はスーパーだぜ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウソップガーデン

 


ウソップ(よ〜く育てよ〜)サァァァァ…

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ウソップ「!」

 


ウソップ「♪」

 


ウソップ(ウタの歌はやっぱりいいな…!癒される…)

 


ウソップ(ルフィいいなぁ……いつだってプリンセス・ウタの歌を聴けるんだから……)

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ウソップ(でもこうやっておれたちも聴けるからな…!)

 


キラキラ

 


ウソップ(心なしかポップグリーンも輝いてるぜ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図書室&測量室

 


ナミ「……」カキカキ

 


ロビン「……」ペラッ…

 


ナミ「ふぅ…」

 


ロビン「あらナミ。海図は完成?」

 


ナミ「うんん。ちょっと疲れちゃって」

 


ロビン「お疲れ様」

 


ナミ「ありがとう。ロビンは相変わらずすごい集中力ね」

 


ロビン「そう?」

 


ナミ「うん。はぁ〜。お茶でも飲んで休憩しようかな…」

 


ロビン「私もいいかしら」パタン

 


ナミ「もちろんよ」

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ナミ「!」

 


ロビン「あら」

 


ナミ「ウタ……」

 


.•*¨*•.¸¸♫✧

 


ナミ「いいわよね……この歌……」

 


ロビン「ええ…とっても」

 


ロビン「前にウタから聞いたけど、この曲がウタがいちばん最初に作ったものらしいわ…」

 


ナミ「そうなの…!?」

 


ロビン「ええ…」

 


ナミ「そうなんだ……」

 


ロビン「ルフィもこの曲が初めて聴いたものみたいよ」

 


ナミ「へえ〜……」

 


ナミ「……ウタが船に乗った日も歌ってたけど………ルフィ泣いてたものね……」

 


ロビン「ええ……」

 


ロビン「今日も……大切な人のために歌ってるんじゃないかしら…?」

 


ナミ「そうね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一味はラフテルを目指して進み続ける。

 


ルフィ 船長が"海賊王"になることを信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタは今日も大切な人 ルフィのために歌い続ける。

 


世界中のみんなが幸せ 自由になれる"新時代"が来ることを信じて。

 


ウタ「——♫」

 


ルフィ「しししし…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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•*¨*•.¸¸♬

 

 

 

 


「それぞれに 幸せを目指し♬」

 

 

 

 


「傷ついても それでも 手を伸ばすよ♬」

 

 

 

 


「悲しみも強さに変わるなら♬」

 

 

 

 


「荒れ狂う嵐も越えていけるはず♬」

 

 

 

 


「信じるその旅の果てで また 会いたい♬」

 

 

 

 


「目覚めたまま見る夢 決して醒めはしない♬」

 

 

 

 


「水平線の彼方 その影に手を振るよ♬」

 

 

 

 


「いつまでも あなた ルフィへ 届くように 歌うわ♬」

 

 

 

 


「大きく広げた帆が 纏う 青い風になれ♬」

 

 

 

 


ルフィ「……」シシシ…!

 


今日もウタはルフィのために歌っていた。

 


麦わらの一味は最後のロード歴史の本文 ポーネグリフを手に入れ、ラフテルへと船を進めていた。

 


そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


フランキー「……こ」

 


チョッパー「これが……!」

 


ナミ「"ひとつなぎの大秘宝"……」

 


ウソップ「"ワンピース"〜〜!?!?」

 


ルフィはついに…

 


ラフテルに辿り着いた。

 


ルフィ「……」

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


シャンクス「お前なんかが海賊になれるか!!!」

 


ルフィ「なる!!!」

 


ルフィ「おれはいつか、この一味にも負けない仲間を集めて!!」

 


ルフィ「世界一の財宝をみつけて!!!」

 


ルフィ「"海賊王"になってやる!!!」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ルフィ「……」ニッ

 


ルフィ「これで……おれは"海賊王"だ……!!」

 


クルッ…

 


スタスタ…

 


ルフィは目の前の莫大な宝に手を出さず、船に引き返した。

 


ウソップ「おいルフィ!?この宝どうすんだ!」

 


ルフィ「おれはいらねえ」

 


ウソップ「!?」

 


ルフィ「お前ら!話がある!」

 


一味「……」

 


ルフィ「ついてきてくれ!」

 


一味も渋々"ワンピース"をそのままに、ルフィについて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


一同はサニー号を停泊させている海岸に着いた。

 


ルフィ「……」

 


ルフィはみんなの方に振り返る。

 


ウソップ「ルフィ、話ってなんだよ?」

 


ルフィ「ウソップ。お前とは同い年ってこともあって船では1番一緒に遊んだな」

 


ウソップ「え…?」

 


ルフィ「父ちゃんがおれの憧れの海賊団にいて、その父ちゃんに負けねえぐらいの狙撃の腕を持ってた。他にもなんでも器用にできて、この一味の旗を描いてくれたり、ナミの武器を作ってくれたり…」

 


ナミ「……」

 


ウソップ「……」

 


ルフィ「メリーのことで喧嘩したこともあったけどな。エニエスロビーで、お前が来てくれてなかったらおれはハトの奴に勝てなかった」

 


ウソップ「ルフィ…」

 


ルフィ「他にもウソップはすげえ活躍してるって知ってる。見てはねえけど、お前はやる男だからな」

 


ウソップ「そんな……照れるじゃねえか…!」

 


ゾロ「……」

 


ウソップ、チョッパー、ナミ以外の一味のみんなは薄々気づいていた。

 


ルフィはチョッパーを見る。

 


ルフィ「チョッパー」

 


チョッパー「!」

 


ルフィ「お前とも、ウソップと一緒によく遊んだな」

 


ルフィ「最初はいろんな変身して面白えから仲間に誘ったけど…実はお前はすごい医者だった。戦ったあと、いつもおれたちの怪我を治してくれてありがとな」

 


チョッパー「そ…!そんなお礼なんて言われても…嬉しくねーぞコノヤロー!♡」テレッ

 


ルフィ「サンジは毎日おれたちのためにうまい飯を作ってくれたな」

 


サンジ「……」

 


ルフィ「腹を空かせた奴ならどんな奴でもお前は飯を作る。いいコックを見つけたと思って仲間にしたら飯も最高だった」

 


サンジ「…ああ。おれもルフィが"海賊王"になるためのサポートができてよかった」

 


ルフィ「ししし!」

 


ルフィ「"海賊王"といえばロビン…お前がいなきゃおれは"海賊王"になることができなかった」

 


ルフィ「ありがとな、ロビン」

 


ロビン「いいえ。私のほうこそありがとうルフィ。最初得体の知れない私を船に置いてくれて……私に帰る場所を……仲間をくれた」

 


ロビン「そして世界から狙われていた私を……世界を敵に回してまで守ってくれた」

 


ロビン「ありがとう。ルフィ」

 


ルフィ「ああ」

 


ルフィ「フランキーもサニー号を作ってくれてありがとう。この船がなかったらこの島まで辿り着けなかった」

 


フランキー「アウ!ルフィ。俺の夢は、夢の船を造ることだ!あのとき、お前なら俺の夢を叶えてくれると確信した。お前だから俺の夢を託せたんだ!」

 


フランキー「俺が作った船を…サニーを夢の船にしてくれてありがとよ!ルフィ!」

 


ルフィ「ああ」

 


ルフィはサニー号を見る。

 


ルフィ「サニーもありがとな。おれたちをエニエスロビーから……いや………お前はメリーの意思も継いでる………」

 


ルフィ「ありがとう。おれたちをずっと支えてくれて」

 


サニー号「……」

 


ウソップ「…へへっ…」

 


フランキー「……」

 


ウソップ「にしてもどうしたんだルフィ?そんな改まって礼なんて…」

 


チョッパー「そうだぞルフィ!」

 


ゾロ「ウソップ。チョッパー。静かにしてろ」

 


チョッパー「え?」

 


ナミ「ちょっとゾロ。どうし…

 


ルフィ「ナミ」

 


ナミ「え?」

 


ルフィ「お前の航海術が、なかったら偉大なる航路 グランドラインに入ることもできなかったと思う。ずっと次の島までちゃんと辿り着かせてくれてありがとう」

 


ナミ「え……う、うん……」

 


ナミ「どうしたのよ………その感じだと……まるで……」

 


ルフィ「ブルック」

 


ブルック「おや……次は私ですか…」

 


ルフィ「ブルックは嫌かも知れねえけど…おれ動くガイコツに会えて…しかも仲間になってくれて嬉しかった。アフロだし」

 


ブルック「ヨホホ」

 


ルフィ「それに音楽家だったしな。おれずっと音楽家を仲間にしたいと思ってたけど、なかなか会えなくて」

 


ウタ「……」

 


ルフィ「シャンクスたちが好きだったビンクスの酒も、ブルック知ってたしな」

 


ルフィ「お前が仲間になってくれてからさらに楽しくなった。ありがとな」

 


ブルック「いいえ。こちらこそありがとうございます、ルフィさん。50年もの間孤独だった私にとって、この姿を見てもなんら恐れることなく仲間にしてくれたあなたは…まさに太陽でした」

 


ブルック「あなたの"海賊王"への道にお供することができて光栄です」

 


ウソップ「!」

 


ルフィ「ししし!」

 


ウソップ「……ッ…!」ポロポロ

 


チョッパー「ウソップ…!?なんで泣いてんだ…!?」

 


サンジ「……」シュボッ…

 


サンジ「……」スパー…

 


ウソップ「……クッ………」ポロポロ

 


チョッパー「どうしたんだよウソップ!?」

 


サンジ「チョッパー」

 


チョッパー「!」

 


サンジ「船長の話を最後まで聞くんだ」

 


チョッパー「え…?」

 


ルフィ「……」

 


ルフィはジンベエを見る。

 


ジンベエ「ルフィ……わしは大したことはできんかった」

 


ジンベエ「お前さんにもらったチャンスを活かすことができず……エースさんを救えんかった。それどころかみっともなく生き残ってしまった」

 


ジンベエ「その後も…

 


ルフィ「違うぞジンベエ」

 


ジンベエ「!」

 


ルフィ「おれはお前がいなかったら立ち直ることができなかった……」

 


ルフィ「魚人島でも輸血してくれなかったら死んでただろうし…サンジの結婚式のときもお前がいなかったら……」

 


ジンベエ「……」

 


ルフィ「仲間になったのは他のみんなよりもずっと後だけど…お前は2年前から……出会ったときからずっと助けてくれた」

 


ルフィ「ありがとう、ジンベエ」

 


ジンベエ「………もったいない言葉じゃ…」

 


ルフィ「」ニッ

 


ルフィ「………」

 


ルフィはゾロを見る。

 


ゾロ「………」

 


ルフィ「……」スタスタ…

 


ルフィはゾロの正面まで歩いた。

 


一味「………」

 


ルフィ「…………」

 


ゾロ「…………」

 


ガシッ!!!

 


ルフィとゾロは力強く手を組んだ。

 


ゾロ「…………」

 


ルフィ「…………」

 


ルフィはこれまでのみんなとの思い出を振り返りながら、一味全員の顔が見えるところまでゆっくりと移動した。

 


ルフィ「……みんな……覚悟はいいな…」

 


ゾロ「ああ…」

 


サンジ「……」

 


フランキー「…ウォォォン…!(泣)」ダバー

 


ウソップ「…ウグッ……ヒグッ…」ポロポロ

 


ナミ「……ウゥ」ポロポロ

 


チョッパー「??」

 


ブルック「……」ポロポロ

 


ジンベエ「ええぞ……ルフィ…」

 


ロビン「………」ポロッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ルフィ「麦わらの一味を!!解散する!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ナミ「うわああああああん…!!」ポロポロ

 


ウソップ「ウウゥ……!!(泣)」ポロポロ

 


チョッパー「え…!?解散……!?そんな………イヤだァァァ!」

 


ぽんっ…

 


チョッパー「ぅ…」チラッ

 


サンジ「……」

 


チョッパー「…………ゥ……ウゥ………うわーーーーん!」ポロポロ

 


ルフィ「ししし!みんな!今まで本当にありがとな!!」ニカッ‼︎

 


ウタ「うぅ……」ポロポロ…

 


ルフィ「………」スタスタ

 


ウタ「…!」ポロポロ…

 


ルフィ「………ウタ…………ここからだ………!」

 


ルフィ「作るぞ…!!"新時代"…!!!」

 


ウタ「!」

 


ウタ「…グスッ……」ゴシゴシ…

 


ウタ「……うん…!!!」

 


ルフィ「ししし!」

 


ルフィ「…行こう…!」スッ

 


ウタ「うん…!」ギュッ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「待てよルフィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ルフィ「!」

 


ゾロ「俺もついていくぞ」

 


ルフィ「え…?」

 


サンジ「俺もだルフィ」

 


ルフィ「サンジ……」

 


ルフィ「でもお前……あのとき"海賊王"への道に付き合うって…」

 


サンジ「バカやろう…!ここまでついてきたんだ…!最後まで付き合うだろ!」

 


ジンベエ「わしもじゃ」

 


ジンベエ「お前さんの旅は……夢はまだ終わっとらん……!わしはこの命をルフィに使う為にここにおる…!」

 


ルフィ「ジンベエ…」

 


ブルック「私もです。私、この2度目の人生ルフィさんの為に使うと決めていますので」

 


ルフィ「ブルック…」

 


ロビン「私もよ。最後までルフィについていくわ」

 


ルフィ「ロビン…」

 


フランキー「アウ!冒険はここからだ!」ガキィィン‼︎

 


ルフィ「フランキー…」

 


ナミ「第一あんた!あたしがいなくて次の島行けんの!?」グスッ…

 


ルフィ「ナミ…」

 


チョッパー「おれもまだルフィの役に立ちたいぞ!」ウルウル…

 


ルフィ「チョッパー…」

 


ウソップ「当然!おれもついてくぜ!」ズビッ

 


ルフィ「ウソップ…」

 


サニー号「……」

 


ルフィ「みんな………」

 


ウタ「ふふっ…」

 


ルフィ「…………ししっ!」

 


ルフィ「……よし…!行くぞ野朗共ォォ!!!"新時代"を作る為に!!!」

 


ゾロ「おう!」

 


ナミ「うん!」

 


ウソップ「へへっ!」

 


サンジ「おう!」

 


チョッパー「おー!」

 


ロビン「ええ!」

 


フランキー「アーウ!」

 


ブルック「はい!」

 


ジンベエ「うむ!」

 


みんなはサニー号に乗り込んだ。

 


ルフィ「出航だーーーーー!!!!!」

 


「「「オォーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


_________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


その後ルフィは仲間たちと共に、世界中の人が自由になれるよう、天竜人たちを引きずり下ろし、大海賊時代を終わらせた。

 


世界は"新時代"を迎えた。

 


そしてその数日後。

 


ルフィとウタはフーシャ村で結婚式を挙げた。

 


今までに出会った友達を全員呼んで。

 


ルフィ「宴だァ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 


「「「「「イェーーーーーイ!!!・お〜〜〜〜〜〜!!!」」」」」

 


ルフィ「かんぱ〜い!」

ウタ「かんぱ〜い!」

シャンクス「かんぱ〜い!」

 


ガシャァァン!

 

 

 

 


ウソップ「……そのうち結婚すんじゃねえかとは思ってたが……こんなに早いとはなぁ」

 


ドンチャン♪ドンチャン♪

 


ナミ「にしても…こんな大騒ぎする結婚式なんて聞いたことないわよ」

 


ヨホホホ〜♪ヨホホホ〜♪ヨホホホ〜♪ヨホホホ〜♪ビンクスの——

 


ロビン「うふふ。ルフィらしいわね」

 

 

 

 


ゴードン「ウワァァァァァ…!(号泣)」ポロポロ

 


シャンクス「おいゴードン!娘の晴れ舞台で何泣いてんだ!だーっはっはっは!!」

 


ベックマン「さっきまで顔面ぐしゃぐしゃにしてたお頭が何言ってんだ」

 


ガープ「ぶわっはっはっは!煎餅が一段と美味いのう!おい赤髪!茶ァ持ってこい!」

 


シャンクス「なんで俺なんだ!自分で持ってこい!」

 

 

 

 


ウタ「ふふっ…!みんなとこうやって騒ぐのすっごく楽しいね」

 


ルフィ「ああ」シシシ!

 


ウタ「ルフィのお友達みんないい人だし」

 


ルフィ「ししし!そうだろ!」

 


ウタ「うん!………私…ルフィと結婚できて幸せだよ」

 


ルフィ「おれもだ」

 


ウタ「これからふたりで一緒の家に住むんだよね…」

 


ルフィ「ああ」

 


ウタ「一緒に住んで……一緒に同じものを食べて……一緒に寝て………一緒同じ景色を見て………勝負して…………たまにケンカして……………ルフィとふたりで笑い合っていたい………」

 


ルフィ「……ああ」

 


ウタ「私…ルフィのために、美味しいものたっっくさん作ってあげるね!」

 


ルフィ「ししし!…ありがとな…」

 


ウタ「あと………いつまでもルフィのために……歌を歌ってあげる……」

 


ウタ「ルフィ…………私の歌……好きだよね……?」

 


ルフィ「当たり前だろ。ウタの歌は最高だ」

 


ウタ「えへへ……嬉しい…」

 


ルフィ「ありがとな。ウタ」

 


ウタ「うん…!」

 


ルフィ「………今日も……歌ってくれるか…?」

 


ウタ「もちろん!…じゃあ今から歌うね」

 


ルフィ「よろしくな」

 


ウタ「うん!」

 


スッ……カチッ…

 


•*¨*•.¸¸♬

 


ルフィ「………」

 


ウタ「…………フゥーー……スゥ…」

 

 

 

 


ドンチャン♪ドンチャン♪

 

 

 

 


「この風は」

 

 

 

 


「「「「「!」」」」」

 

 

 

 


「どこからきたのと♬」

 

 

 

 


ウタが歌うと同時に一同は静かになり、その歌声に耳をすませた。

 

 

 

 


シャンクス「フッ……」

 

 

 

 


「問いかけても 空は何も言わない♬」

 

 

 

 


「この歌は どこへ辿り着くの♬」

 

 

 

 


ブルック「…ゴードンさん…!」ヒソヒソ

 


ゴードン「…ああ…!」ヒソヒソ

 

 

 

 


「見つけたいよ 自分だけの答えを♬」

 

 

 

 


ブルックとゴードンは急いで準備した。

 


ブルックはヴァイオリン。

 


ゴードンはピアノ。

 


それぞれウタの歌声に合わせるため、楽器を構えた。

 

 

 

 


「まだ知らない海の果てへと 漕ぎ出そう♬」

 

 

 

 


•*¨*•.¸¸.•*¨*•.¸¸.•*¨*•.¸¸.•*¨*•🎶

 

 

 

 


「ただひとつの夢 決して譲れない♬」

 

 

 

 


ブルック「🎶」

 

 

 

 


「心に帆を揚げて 願いのまま進め♬」

 

 

 

 


ゴードン「🎶」

 

 

 

 


「いつだって あなた ルフィへ 届くように 歌うわ♬」

 

 

 

 


「大海原を駆ける 新しい風になれ♬」

 

 

 

 


「ただひとつの夢 誰も奪えない♬」

 

 

 

 


「私が消え去っても 歌は響き続ける♬」

 

 

 

 


ブルック。

 


ゴードン。

 


そしてウタ。

 


3人が織りなす歌に、一同は、そしてルフィは魂が震えていた。

 

 

 

 


「どこまでも あなた ルフィへ 届くように 歌うわ♬」

 

 

 

 


「大海原を駆ける 新しい風になれ♬」

 

 

 

 


「ooh♬」

 

 

 

 


「「「「「ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」」」」」

 

 

 

 


ルフィ「ありがとう。ウタ」

 


ウタ「どういたしまして」

 


ウタ「……」

 


ウタ「ルフィ……」

 


ルフィ「ん?」

 


ウタ「これからもよろしくね」

 


ルフィ「ああ!よろしくな」

 


ルフィ「ウタ」

 


ウタ「?」

 


ルフィ「おれはずっとお前のそばにいる。そばでお前を守り続けて……幸せにする…!」

 


ウタ「…!」

 


ウタ「うん…!ありがとう…ルフィ…!」

 


ルフィ「しししし!」ニカッ

 


ウタ「ふふっ…!」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ルフィとウタの結婚式、もとい、ふたりの結婚を祝う宴は数日続いた。

 


その宴もお開きとなり、翌日からフランキーたちに建ててもらった一軒家にふたりで住むことになる。

 


場所はドーン島。

 


その島にある小さな村、フーシャ村はルフィの故郷で、ふたりが出会った場所。

 


そのフーシャ村から少し離れた原野に家を建ててもらった。

 


ルフィ「ありがとな!」

 


ウタ「ありがとうございます!」

 


フランキー「アーウ!お安いご用だ!」

 


港友「ってやんでいバカヤロー!おれっちにゃァ朝飯前だ!」

 


港友「にしてもフラの介だけじゃなく、こいつらもなんて仕事ぶりだ…!」

 


タイルストン「うおおおおー!いい家が出来たなァーー!」

 


ルル「フランキーと作業するのはあのとき以来だな…」

 


ウタ「いい家だね、ルフィ」

 


ルフィ「ああ!」

 


アイスバーグ「ンマー……幸せにな」

 


ルフィ「ああ!ありがとな!アイスのおっさん!」

 


ウタ「はい!ありがとうございます!」

 


パウリー「じゃあな」

 


スタスタ…

 


ウタ「今日からここで…一緒に暮らすんだね…」

 


ルフィ「ああ…」

 


ウタ「ふふっ…!あらためてよろしくね、ルフィ!」

 


ルフィ「ああ!よろしくな、ウタ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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ルフィとウタ、そして、かつて一緒に旅をした仲間と共に自由で平和な"新時代"を作った。

 


海賊たちの略奪。

 


昔の天竜人や世界政府の卑劣な蛮行もなくなった。

 


そのためふたりの暮らしは平穏だった。

 


同じものを食べ、

 


ルフィ「うんめェ〜!ウタ料理上手だな!」

 


ウタ「ほんと!?ありがとうルフィ!」

 


ルフィ「ああ!最高だ!」

 


ウタ「えへへ…」

 


同じ道を歩き、

 


ウタ「あっ!ルフィあれ見て!」

 


ルフィ「ん?」

 


ウタ「あの雲の形、お肉みたいだよ!」

 


ルフィ「お〜!」

 


ぐぎゅるるるる…

 


ウタ「ふふっ!おっきな音!今日もご飯たっくさん作ってあげるね!」

 


ルフィ「ありがとな!ウタ!」

 


ウタ「ふふっ!」

 


ルフィ「……おっ…!」タタッ…!

 


ウタ「?」

 


ウタ「どうしたのルフィ?」

 


ルフィ「これ…!花」

 


ウタ「うわ〜!きれい…」

 


スッ

 


ウタ「わっ」

 


ルフィ「にしし!似合ってんぞ、ウタ!」ニカッ!

 


ウタ「…!///」

 


ウタ「ありがとっ…///」

 


ルフィ「ししし!」

 


たまに勝負して…

 


ウタ「いぇーい!私の勝ち〜!」

 


ルフィ「いまのはずりぃぞ、ウタ!」

 


ウタ「出た〜!負け惜しみィ〜!」ワキワキ

 


ルフィ「くそ〜〜」

 


一緒に寝た。

 


ウタ「あ〜…!今日も楽しかった〜…!」

 


ルフィ「そうだな…!」ニシシ!

 


ウタ「ふふっ……ルフィの体あったかい…」キュッ…

 


ルフィ「ウタもあったけえぞ」

 


ウタ「そう?」

 


ルフィ「ああ」

 


ウタ「…そっか…」

 


ウタ「…おやすみ、ルフィ」

 


ルフィ「おやすみ、ウタ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普段はもちろんふたりで過ごしていたが、ときどき昔の仲間が遊びにきてくれたり、

 


ナミ「ルフィ〜!ウタ〜!ひさしぶり〜!」

 


ウタ「ナミちゃん!ロビンさん!みんな!ひさしぶり!」

 


ロビン「二人とも元気そうね」

 


ルフィ「ししし!」

 


家族が会いにきてくれることもあった。

 


シャンクス「よう!」

 


ウタ「シャンクス〜!」

 


ルフィ「おお!シャンクスじゃねえか!」

 


シャンクス「ウタ!この前宝を見つけたんだ!ほら!」

 


ウタ「うわ〜!きれ〜!」

 


シャンクス「だっはっは!欲しけりゃやるぞ!」

 


ウタ「え〜!…じゃあ…このネックレス貰おうかな」

 


シャンクス「…それだけでいいのか?」

 


ウタ「うん!ありがとう、シャンクス!」

 


シャンクス「……フッ…」

 


マキノの酒場

 


ドンチャン♪ドンチャン♪

 


ヨホホホ〜♪ヨホホホ〜♪

 


ルフィ「ゴムゴムのォ〜〜〜……食いしん坊ォ〜〜!」バクバクバク-!

 


パンチ「うお〜!相変わらずすげえ食うな!」

 


ホンゴウ「ウタ毎日大変じゃねえか?」

 


ウタ「えへへ…まあね!でも私はルフィの妻だよ!」エッヘン!

 


ホンゴウ「そうだな」

 


シャンクス「………ウタ……」

 


ウタ「ん?どうしたのシャンクス?」

 


シャンクス「お前……今…幸せか…?」

 


ウタ「…うん!もちろん!毎日楽しいよ!」

 


シャンクス「…!」

 


シャンクス「……そうか…!…そうかぁ…!…よかった…!」ポロッ…

 


ウタ「ちょっと〜!泣かないでよシャンクス〜!」

 


シャンクス「うぅ……くぅ……」

 


ボテボテ…

 


ルフィ「ん……?なんだシャンクス泣いてんのか?」モグモグ

 


シャンクス「うるせえ!泣いてねえよクソガキ!」

 


ルフィ「そっかぁ?」

 


ウタ「あはははっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


_________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ある日……

 


ジュゥゥゥゥ…!

 


ウタ「♪」

 


ウタはルフィより早く起きて、朝食を作っていた。

 


ウタ「ふんふ〜ん♪」

 


ウタ(味見味見ィ〜…)パクッ

 


ウタ(う〜ん♡おいしい♡我ながらいい味付け!)

 


ウタ(ルフィ早く起きないかなぁ〜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ルフィ「…………………………………」

 


ルフィはベッドに座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ガチャ……

 


ウタ「あっ!ルフィおはよう!朝ごはんできてるよ!」

 


ルフィ「………………………」

 


ウタ「?」

 


ルフィ「………………………」

 


ウタ「どうしたの…?ルフィ…?」

 


ルフィ「………………………」

 


ウタ「……ルフィ………?」

 


ルフィ「…………ごめん…………ウタ…………」

 


ウタ「……………………え………?」

 


ウタ「どうしたのルフィ………?」

 


ウタ「………なんであやまるの……?」

 


ルフィ「……………」

 


ルフィの顔は…無表情。

 


ふたりは、たとえけんかすることがあっても、激しい口論をしたりはしない。

 


むしろ周りから見て和むような痴話喧嘩……よりも平和なもの。

 


ルフィはいつも(少なくともウタといるときは)何かしらの表情があった。

 


しかし今は違う。

 


まったくの無表情。

 


ルフィのただならぬ雰囲気に、ウタは疑義の念はもちろん、少し恐怖も感じていた。

 


ルフィ「…………ウタ………」

 


ウタ「………ん……?」

 


ルフィ「話があるんだ…………」

 


ウタ「…うん………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタは嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


話ってなに……

 


……私のおやつを食べた……?

 


違う。

 


そんなんだったらこんな冷たく無表情にはならない。

 


……私が何かひどいことしちゃった……?

 


違う。

 


それだったらその時ルフィはすぐに言ってくる。

 


……じゃあ逆にルフィが私にひどいことをした……?

 


違う。

 


そんなことをされた覚えは私はないし、もししてしまったとしてもルフィはすぐに謝ってくる。

 


……私に……愛想を尽かした……?

 


違う。

 


そんな素振りルフィはしてない。

 

 

 

 


ウタは昔からルフィをよく知っている。

 


だから本当はどこかでわかっていた。

 


そんな生易しいものではない。

 


もっと絶望的な……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ルフィ「……ウタ………おれ死ぬんだ」

 


ウタ「………え………………」

 


ルフィ「……………」

 


ウタ「どうゆうこと………」

 


ルフィ「たぶん…明日にはもう…死んでると思う……」

 


ウタ「……なんで………」

 


ルフィ「……わかるんだ…………」

 


ウタ「……う……うぅ……」

 


ウタにはわかっていた……

 


これは嘘じゃない……

 


冗談でも……嫌がらせでも……

 


ルフィはそんなつまらないことをする人じゃない……

 


なにより……

 


ルフィ「…………」

 


ルフィは悲しそうだった。

 


ウタ「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 


ルフィ「………」

 


ルフィは死ぬのが怖くなかった。

 


昔は。

 


"海賊王"。そしてその先の"夢の果て"を叶えるために進み、そのために死ぬのなら。

 


死を恐れ、夢を諦めるよりも、夢を叶えようと突き進み、死ぬほうがよかった。

 


やらない後悔よりも……やった後悔のほうが……

 


しかし今は違う。

 


"海賊王"になり、"新時代"を作り、"夢の果て"をも叶えた。

 


そしてウタと結婚。

 


ウタと一緒に過ごす毎日は楽しかった。

 


幸せだった。

 


ずっとこの日々が続けばいいと思っていた……

 


しかし………

 


朝起きて……自分は死ぬとわかってしまった。

 


なぜかはわからない……

 


でもわかるのだ……

 


自分の命の終わりが。

 


そして……ウタとの幸せな毎日の終わりが。

 


ルフィは虚無感に襲われていたが……

 


自分のことはいい。

 


それよりもルフィは……申し訳なかった。

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ルフィ「……………………なぁウタ」

 


ウタ「なに?ルフィ」

 


ルフィ「おれ、おまえが好きだ」

 


ウタ「え…!?///」

 


ルフィ「歌を歌っているときのウタはなによりも輝いていて綺麗だ」

 


ウタ「え…え…///」

 


ルフィ「おれはウタと一緒にいるときが一番楽しい。だから夢を叶えて"新時代"を作った後もずっと一緒にいたい」

 


ウタ「……//////」ドキドキ

 


ルフィ「ウタ………!おれはおまえが好きだ。一人の女として」

 


ウタ「//////」ボンッ!

 


ルフィ「おれとこれからもずっと一緒にいてくれるか?」

 


ウタ「えっ…あっ…///…あの…///」ドキドキ

 


ルフィ「どうだ?」

 


ウタ「わ…私でよければ…///…よろしくおねがいします…!///」ドキドキ

 


ルフィ「しししし!!ああ!よろしくな!」ニカッ

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ルフィ「ウタ」

 


ウタ「?」

 


ルフィ「おれはずっとお前のそばにいる。そばでお前を守り続けて……幸せにする…!」

 


ウタ「…!」

 


ウタ「うん…!ありがとうルフィ…!」

 


ルフィ「しししし!」ニカッ

 


ウタ「ふふっ…!」ニコッ

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ずっと一緒にいると……

 


ずっとそばにいて守ると……

 


約束した。

 


なのに…………

 


絶対に幸せにすると誓った人は…目の前で……

 


ウタ「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

 


泣いていた。

 


ルフィ「ごめん………ごめん………」

 


ルフィは罪悪感に押しつぶされそうになっていた。

 


ルフィ「ごめん………ごめんな…………ウタ……」

 


ルフィはただ……目の前で泣くウタに……

 


謝ることしかできなかった………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「……グスッ………グスッ…」

 


ルフィ「……ごめん………ごめん…………」

 


ルフィはウタを抱きしめ……謝り続ける………

 


ウタ「……ヒグッ………ずっと……………一緒にいるって…………言ったのにィ……………グスッ………」

 


ルフィ「ごめん…………ごめん…ウタ………」

 


ウタ「……まだ………結婚して………ヒグッ………1年も経ってないのに……………ウゥ………」

 


ルフィ「ごめん………………」

 


ウタ「……今日で………グスッ…………………最後…なの……………?」

 


ルフィ「………………」コクッ……

 


ウタ「ウゥゥッ……………」

 


ルフィ「…………ごめん……」

 


ウタ「………ヒグッ…………グスッ………そんな…謝らないでよ……………辛いのは……ルフィなんだから………グスッ………」

 


ルフィ「…………………」

 


ウタ「…………グスッ……………ウゥ……」

 


ルフィ「……言おうか……」

 


ウタ「…?」

 


ルフィ「迷ったんだ……」

 


ウタ「…………グスッ……」

 


ルフィ「……でも言わなかったら……突然…死ぬことになるから…………言ったほうが…いいと思った………」

 


ウタ「…………………………」

 


ルフィ「だからよウタ!」

 


ウタ「!」

 


ルフィ「今日はずっと一緒にいて、たくさん楽しいことしよう!!」

 


ウタ「……………」

 

 

 

 

 

 

 


悔いを残さないように…………

 

 

 

 

 

 

 


ルフィ「なっ!ウタ!」ニカッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 


ずっと罪悪感に苛まれ、暗い気持ちでいてはウタを余計に悲しませてしまう。

 


ルフィはそれらを押し殺して、明るく振る舞った。

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「……………うん…」

 

 

 

 

 

 

 


今日がルフィとの最後の日………

 


ずっと泣いていて、無駄にしたら一生後悔する………

 


せめて…………この限りある1日を無駄にしないと…………ウタは決めた。

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「…そうだねルフィ!…グスッ……楽しいことしよう!!なにする!?」

 


ルフィ「え〜っと……」チラッ

 


机にはウタが朝早くに起きて作った朝ごはんがあった。

 


ルフィ「めっ…飯食うか…!」

 


ウタ「…そうだね!」

 


ウタ「…あっ……冷めちゃってる………温め直すね!」

 


ルフィ「お…!おれも手伝うぞ!」

 


ウタ「ありがとうルフィ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ふたりは食事中、ずっと無言だった。

 


そんなことは初めてのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——あまり利口ではない…!命を削っているんだぞ!

 

 

 

 


——寿命10年…!ヴァナタがこの先生きたであろう人生を10年分!使わせて貰うわよ…

 

 

 

 


——ウォロロ!おい死ぬぞ

 

 

 

 


ルフィ「……クッ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


_________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「………………」

 


ルフィ「………………」

 


ウタ「………グスッ……ウゥ………」

 


ぎゅっ……

 


ルフィはウタを優しく抱きしめる。

 


ウタ「………」ギュウッ

 


ルフィ「……ウタ…」

 


ウタ「……ん………」

 


ルフィ「………散歩行かねえか…?」

 


ウタ「………うん……わかった……」

 


ルフィ「…じゃあ行こう…」

 


ウタ「…うん……」

 


ルフィとウタは家を出て、手を繋ぎながら、フーシャ村のほうへ歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


フーシャ村

 


ルフィ「………」

 


ウタ「………」

 


村はいつも通り賑やかだった。

 


ふたりは魚屋を通りかかるとき、店主に話しかけられた。

 


ギョルさん「おや、おふたりさん。買い物かい?」

 


ウタ「えっ……いや……その………」

 


ルフィ「散歩だ!」

 


ギョルさん「そうかい。今日は天気がいいからねぇ」

 


今日の空は快晴。

 


過ごしやすい気温で穏やかな風も吹いていた。

 


ギョルさん「ふたりが幸せそうで嬉しいよ」

 


ウタ「え?」

 


ギョルさん「ルフィは昔から村のみんなで見守ってきた」

 


ルフィ「………」

 


ギョルさん「ウタちゃんも昔この村にやってきて、小さい頃を知っている」

 


ウタ「………」

 


ギョルさん「ふたりが結婚して、幸せなことが俺たち村のみんなの幸せなんだ」

 


ウタ「………はい…」

 


ルフィ「ありがとな、おっちゃん」

 


ウタ「ありがとうございます…」

 


ギョルさん「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ルフィとウタは他の村の人たちとも交流しながら、港に着いた。

 


サァァァァァ……

 


海も穏やかだった。

 


ルフィ「…………」

 


ウタ「…………」

 


ルフィ「………ここで会ったな」

 


ウタ「…!」

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ルフィ「おまえら、かいぞくか?」

 


ウタ「そうよ。なんかもんくでもあるの?」

 


ウタ「だったら聞くよ。せんちょうシャンクスのむすめ、このウタが」

 


ルフィ「かいぞくなら…でてけ!!」

 


ウタ「なによ。やるっての?」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ウタ「……そうだね」

 


ルフィ「…………」

 


ウタ「…………」

 


ふたりはしばらく海を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


スタスタ…

 


ふたりはまたフーシャ村を歩いていた。

 


ルフィ「これまでいろんな勝負したな」

 


ウタ「…そうだね」

 


ルフィ「この家では桶を借りたな」

 


ルフィはある家を通りかかるときにそう言った。

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ルフィ「ウタ〜!きょうはどっちがながくいきをとめられるかしょうぶだ!」

 


ウタ「どうやって?」

 


ルフィ「みずにかおいれてやるんだ!」

 


ウタ「わかった。いいよ」

 


ルフィ「じゃあうみにいくぞ!」

 


村の人「待ちなさいふたりとも」

 


ルフィ「!」

ウタ「!」

 


村の人「海は危険だからここでやりなさい。桶貸してあげるから」

 


ルフィ「お〜!」

 


ウタ「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後…

 


ルフィ「よし、やるぞォ〜!」

 


ウタ「いくよ〜!」

 


ルフィ「3、2、1!」

ウタ「3、2、1!」

 


ザブッ!

 


ルフィ「………」

 


ウタ「………」

 


ツン…!

 


ルフィ「ゴボッ…!」

 


ウタは顔を水につけながら、隣のルフィの脇腹をつついた。

 


ツン、ツン、ツン、ツン…!

 


ルフィ「ゴボボボッ!ぶはっ!」ザバァ!

 


ルフィ「あひゃひゃひゃひゃひゃ!」

 


ウタ「ぷはっ!」ザバァ!

 


ウタ「にひひ!あたしの勝ちィー!」

 


ルフィ「くすぐるなんてずるいぞ!ウタ!」

 


ウタ「出たァ!負け惜しみィ〜!」

 


ルフィ「くそー!」

 


村の人「あははは!またやられちゃったわねルフィ」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ウタ「うん……」

 


ルフィ「おれはその桶を使って、ウタはマキノの酒場の樽を使って海で競走したこともあったな」

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ルフィ「うおおおおおああ!」

 


ウタ「はあああああああ!」

 


ルフィ「おれのほうがぜったいはええ!」

 


ウタ「あたしにきまってんでしょ!」

 


ルフィ「あのいわにさきについたほうがかちだ!」

 


ウタ「のぞむところよ!」

 


ルフィ「かつのはおれだァ!」

 


ウタ「あたしよォ!」

 


ルフィ「ぜったいにかつ!」

ウタ「ぜったいに勝つよ!」

 


近海の主「……」

 


ルフィ「うああああ!!」

ウタ「えええええ!!」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ウタ「そうだね…」

 


ルフィ「………」

 


マキノ「あら、ふたりとも」

 


ルフィ「マキノ」

 


ウタ「マキノさん」

 


マキノ「おでかけ?」

 


ルフィ「まあな」

 


ウタ「………」

 


マキノ「ウタちゃん…元気ないわね」

 


ウタ「!」

 


マキノ「喧嘩…ではなさそうね……」

 


ウタ「………」

 


マキノ「無理にとは言わないけどなにか悩み事があったらいつでも相談になるからね」

 


ウタ「ありがとう…マキノさん」

 


マキノ「そうだ!もうすぐお昼だし、ご飯作ってあげるわ!」

 


ルフィ「おお!だってよウタ!」

 


ウタ「うん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マキノの酒場

 


ジュゥゥゥゥ…!

 


ぐぎゅるるるる…

 


ルフィ「腹減ったな〜!」

 


ウタ「……うん」

 


ルフィ「めしなんだろうな!」

 


ウタ「………」

 


ルフィ「………初めてウタの歌を聞いたのここだったな……」

 


ウタ「…!」

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ウタ「あたしは歌姫。あたしは、赤髪海賊団の音楽家でシャンクスの娘!」

 


シャンクス「海賊には、歌がつきものだからな」

 


ルフィ「へー」

 


ウタ「いいわ。あたしの歌を聴かせてあげる」

 

 

 

 


•*¨*•.¸¸.•*¨*•.¸¸.•*¨*•.¸¸.•*¨*•♪

 


ルフィ「………」

 

 

 

 


ワァァァァァァァ!!

 


ウタ「どうだった?」

 


ルフィ「…うめえなあ…おまえ」

 


ウタ「ん〜?」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ルフィ「あのときほんとに凄えと思った……あんなに綺麗な歌を聞くのは初めてだった」

 


ウタ「……ルフィ」

 


マキノ「できたわよふたりとも!」コトッ

 


ルフィ「お〜!うまそォ〜!いっただっきま〜す!」

 


ウタ「……いただきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィ「ご馳走さん!」

 


ウタ「ご馳走様でした」

 


マキノ「またいつでも来てね」

 


ウタ「………」

 


ルフィ「ありがとうマキノ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


その後、フーシャ村を出たふたりはある崖に来た。

 


ウタ「………」

 


ルフィ「初めての競走はこの崖登りだったな」

 


ウタ「うん…」

 


ウタはルフィの意図がわかってきた。

 


ウタ(ルフィは……)

 


ダキッ

 


ウタ「わっ」

 


ルフィはウタをお姫様抱っこし、軽くジャンプして崖の上に着地した。

 


ウタ「……本当に……強くなったね…」

 


ルフィ「……ああ」

 


サァァァァァ……

 


穏やかに風が吹く……

 


ルフィ「………」

 


ウタ「……もう身長も腕相撲も負けちゃうな…」

 


ルフィ「!」

 


ルフィ「……大声は…わかんねえな……かわいさは絶対勝てねえなぁ…」

 


ウタ「そう?ルフィかわいいよ」

 


ルフィ「そっかぁ?」

 


ウタ「うん」

 


ルフィ「……そっか」

 


ウタ「………」

 


ウタは気づいた。

 


ルフィは最後に……自分たちの思い出の場所を巡っていると……

 


ルフィ「…………」

 


ウタ「…………」

 


サァァァァァ……

 


穏やかな風がふたりの頬を撫でる。

 


ウタ「…………」

 


ウタはルフィを見た……

 


ルフィはじっと水平線の向こう側を見ていた。

 


その顔は…泣いているようにも……笑っているようにもみえた……

 


ウタ「ルフィ」

 


ルフィ「……」

 


ウタ「行こう?」スッ

 


ルフィ「…ああ」

 


ぎゅっ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


時刻は…夕方。

 


ギィィィィ……

 


ギシ…ギシ…ギシ…

 


ギイッ……

 


ウタ「……!」

 


12年の時が経っても………その景色は変わっていなかった。

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ウタ「なかなかすてきね…!」

 


ウタ「でもあたしは…いくつもの海を航海してきたから…もっとすてきな景色も知ってるわ…!」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ウタ「ルフィ……」

 


ルフィ「…ん…?」

 


ウタ「私…あのときあんなふうに言ったけどね……」

 


ウタ「12年前……ここでルフィが見せてくれた…この景色が…いちばん素敵だった…」

 


ルフィ「……そうか…」

 


ウタ「うん…!……ルフィが連れてきてくれた…私の舞台…!……ずっと忘れないよ……!」ポロッ…

 


ルフィ「…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィ「しししし…!」ニカッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「………」

 


ルフィ「そろそろ行くか…」

 


ウタ「…家に帰るの?」

 


ルフィ「いや……最後に行きたいところがある」

 


ウタ「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ザッ…

 


ウタ「……ここは…」

 


ルフィ「覚えてるか?」

 


ウタ「……忘れないよ」

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ウタ「あんたさぁ、すぐかいぞく、かいぞくって言うけど、かいぞくになってなにしたいの?」

 


ルフィ「ん?」

 


ウタ「あたしには夢がある」

 


ルフィ「……」

 


ウタ「シャンクスといっしょに、世界をまわって、たくさんの曲を作って、最高のステージとあたしの歌で、世界を幸せにする!」

 


ウタ「あたしは!"新しい時代"を作るの!」

 


ルフィ「へぇ〜〜」

 


ルフィ「よ〜し!おれもつくろう!しんじだい!」

 


ウタ「かんたんに言わないでよね」

 


ルフィ「にひひひひひ!」

 


ウタ「なに?あんたの"新時代"って」

 


ルフィ「おれは、せかいじゅうをぼうけんしたい!」

 


ウタ「……」

 


ルフィ「いろ〜んなばしょにいって!いろ〜んなやつらとあって!いろ〜んなくいもんたべたいんだ!シャンクスみたいに!」

 


ウタ「それじゃあ世界は変わらないじゃない」

 


ルフィ「そうか。ひひひひ。そのうちきめる」

 


ウタ「あはははははっ!…うんうん。なんか、あんたっぽいなって」

 


ルフィ「そっか?てれるなぁ」

 


ウタ「べつにほめてないし!」

 


ルフィ「………」

ウタ「………」

 


ルフィ「にひひひひひひっ!」

ウタ「あはははははは!」

 


ウタ「あははははははっ……フウ…」

 


ウタ「…作ろう…!"新時代"!」

 


ルフィ「おう!」

 


ガッ!

 


ルフィ「にひひひひひひ」

 


ウタ「ふふふふふふっ」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


ルフィ「…………」

ウタ「…………」

 


ルフィ「ウタ……ありがとう」

 


ウタ「うん………こちらこそ…ありがとう。ルフィ」

 


太陽は、水平線に沈みかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「…………」

 


今日1日で、昔の自分たちの思い出の場所を巡った。

 


フーシャ村の港や酒場、お世話になった店や家。

 


初めて勝負をした崖。

 


果物狩り勝負をした森。

 


かんむり作り勝負をした花畑。

 


風車小屋 ウタの舞台。

 


そして……共に夢 新時代を誓い合った丘。

 


どこも12年前と変わっていない……

 


変わったのは…人と……"時代"だった。

 


ここでの暮らしを始めてから、立ち寄ったことがない場所もたくさんあった。

 


ルフィを疑っていたわけではないが……今朝の……あの話が…現実味を帯びる………

 


ウタ「………ゥ……」

 


ウタは……また……泣きそうに………

 


ドサッ!

 


ウタ「うわっ!」

 


その瞬間ウタはソファに押し倒された。

 


ウタ「え…?」

 


ルフィ「くらえ〜!」

 


こちょこちょこちょ〜!

 


ルフィはウタをくすぐった。

 


ウタ「あはははははは!…ちょ…なんで…!あはは…!」

 

 

 

 

 

 

 


数分後…

 


ウタ「はぁ…はぁ…」グデー

 


ルフィ「おれの勝ち!」

 


ウタ「よ…よくもやってくれたわね…!」

 


ルフィ「逃げろ〜!」ダダッ

 


ウタ「待ちなさいルフィ〜!」ダッ

 


家の中で追いかけっこが始まった。

 


まるで昔のルフィとウタに戻ったようだった。

 


その後ルフィはウタにやり返され、

 


一緒にお風呂に入り、

 


一緒に夕食を食べ、

 


たわいもない会話をして、

 


笑い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寝室

 


ウタ「あ〜!楽しかったァ〜!」ノビー

 


ルフィ「ししし!」

 


ウタ「ねえルフィ!明日は…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——ルフィ「……………おれ死ぬんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ「…ッ…!!」

 


ウタは今朝の話を思い出した。

 


ウタ「……………………」

 


ルフィ「…………」

 


今日が終わる。

 


それはつまり…ルフィがいなくなることを意味していた…

 


ウタ「ねえ………ルフィ………」

 


ルフィ「……なんだ…?」

 


ウタ「ほんとうに……ルフィ………明日………」

 


ルフィ「………ああ……」

 


ポロッ…

 


ウタ「いやだ……!いやだよルフィ……!…ヒグッ…ルフィがいなくなるなんて…いやだ…!」

 


ウタ「死んじゃいやだ…!私を置いていかないでよ…!」

 


ウタ「ずっと一緒にいるって言ったじゃんかァ…!約束したじゃん…!」

 


ルフィ「……ずっと一緒だ……」

 


ウタ「え…?」

 


ルフィ「死んでも………いつもウタのそばにいる…!」

 


ウタ「………」

 


ルフィ「おれはずっとお前のそばにいる…!…本当だ…!」

 


ウタ「……うぅ…」

 


ルフィ「ウタ…!」

 


ぎゅっ…!

 


ルフィ「お前は長生きしてくれ……」

 


ウタ「……」ギュッ…

 


ルフィ「おれたちが作ったこの"時代"で……」

 


ルフィ「ウタは優しいから…他のやつの幸せを考えて動くけど……それはいいことだけど……これからは自分の幸せのために生きてくれ……!」

 


ルフィ「ウタは自由だ…!……もしいいやつとか見つけたら…そいつと結婚して暮らせばいい」

 


ウタ「……私は…ルフィ以外の人とは結婚しないよ…」

 


ルフィ「それは……

 


ウタ「私が決めたこと……!私はルフィにも縛られてないよ…!」

 


ウタ「私はこの世の誰よりも自由だよ…!…ルフィを除いてね……」

 


ルフィ「そっか………」

 


ルフィ「ししし…!」

 

 

 

 

 

 

 


ルフィは笑い………ウタは……泣いていた……

 


ふたりはずっと抱きしめ合った。

 


この温もりを…いつまでも…忘れないように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィ「電気消すな……」

 


ウタ「………うん………」

 


パチッ……

 


ふたりはベットに入り…布団を被る。

 


ウタ「…………………」

 


目を閉じたくない……

 


眠りたくない………

 


今日が………終わってほしくない…………

 


ウタ「………グスッ…………」

 


枕が濡れていく……

 


ルフィ「…ウタ……」

 


ウタ「……ん………」

 


ルフィ「お願いがある……」

 


ウタ「……うん…」

 


ルフィ「歌を歌ってほしい…」

 


ウタ「!」

 


ルフィ「いいか……?」

 


ウタ「………」

 


昔……シャンクスに聞いたことがある……

 


あれは4歳のとき……

 

 

 

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


ウタ「ねえ、しゃんくす」

 


シャンクス「ん?どうしたウタ」

 


ウタ「なんでうたのなまえ、うたっていうの?」

 


シャンクス「あ〜…それはなぁ…」

 


ウタ「うん」

 


シャンクス「ウタと出会ったとき、ウタ泣いてたんだよ」

 


ウタ「そうなの?」

 


シャンクス「ああ。それで、おれが子守唄を歌ってやったら、泣き止んだんだ」

 


シャンクス「俺、みんなから音痴……歌が下手って言われてるんだが……ウタは俺の歌を聞いて笑ってくれた」

 


ウタ「………」

 


シャンクス「だからウタって名前にしたんだ。こいつは歌が好きそうだって」

 


ウタ「そうだったんだ」

 


シャンクス「ああ。それからも泣いたときは歌ってやってたんだ。みんなでな」

 


シャンクス「ウタすげえんだぜ。まるで怪物みてェに泣くんだ」

 


ウタ「ふーん……」

 


シャンクス「そーだ!」ポン

 


シャンクス「ウタも歌ってみたらどうだ」

 


ウタ「えっ……うたも?」

 


シャンクス「ああ」

 


ウタ「…うたうたってみる!」

 


シャンクス「おー、頼むな」

 


ウタ「………」

 


シャンクス(まあウタもまだガキだからなぁ……ちゃんと歌えるかどうか…)

 


ウタ「〜♪」

 


シャンクス「!」

 


ウタ「ど…どうだった…?」

 


シャンクス「………」ポカーン

 


ウタ「…シャンクス?」

 


シャンクス「すげぇぇぇ!ウタお前天才じゃねえか!?」

 


ウタ「ええ…!?」

 


ダダダダッ!バンッ!

 


シャンクス「おいお前ら!ちょっとこっちきてみろ!」

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 


私は歌が好き……

 


歌うこと自体もそうだけど……

 


私が歌を歌うとみんなが喜んでくれるから。

 


シャンクスも………

 


赤髪海賊団のみんなも………

 


ゴードンも………

 


一味のみんなも………

 


そして………

 


ルフィも…私が歌を歌うと…喜んでくれる……

 


笑顔になってくれる……

 


だから…私は歌が好き。

 


ウタ「当たり前だよ…ルフィ」

 


ウタ「昔…言ったでしょ…?…いつまでもルフィのために…歌ってあげるって」

 


ルフィ「ありがとう。ウタ」

 


ウタ「うん…」

 


ウタ「じゃあ……歌うね……ルフィ…」

 


ルフィ「ああ…」

 


ウタ「………ぅ……グスッ……」

 

 

 

 


ウタ「…………こ……」

 

 

 

 


ウタ「このかぜはァ………どこから…きたのと…グスッ…」

 

 

 

 


ウタ「……といかけても……ゥ…ウゥ………」

 

 

 

 


ウタ「………グスッ……」

 

 

 

 


ウタ「………そらはなにも…いわない……グスッ…」

 

 

 

 


ひどいものだった。

 

 

 

 


ウタ「こ……このうたはぁ……どこへたどりつくの」

 

 

 

 


伴奏はもちろん、いつものように音貝 トーンダイアルによる音源もない。

 

 

 

 


ウタ「ゲホッ……つけたいよじぶんだけのォ…こたえをぉ……」

 

 

 

 


歌は途切れ途切れになり………嗚咽も混じっている……

 

 

 

 


ウタ「……まだしら…ないうみのはてへと……グスッ…こぎこそう」

 

 

 

 


最初のAメロを歌うだけで…一曲歌い終わってしまうぐらいの時間がかかってしまった…

 

 

 

 


ウタ「…………た…だ…ひとつのゆめ……けしてゆずれ……な…ァァい…」

 

 

 

 


ウタ「こォ…ころ…にほをあ…げてェ…グスッ……ね……ねがいのまます…すめ………」

 

 

 

 


ウタ「…い…つだァってあな…たへ………グスッ…とど…く…ウゥ………ヒグッ……ウ…ウゥ……」

 

 

 

 


ウタ「よ………ように……うたうわァ…グスッ……」

 

 

 

 


ウタ「おおうな…グスッ……ばらを…かける………あたしいかぜ…になれ……………」

 

 

 

 


ウタ「グスッ………ヒグッ………」

 

 

 

 


それでもルフィは……

 

 

 

 


こんなひどい歌を……

 

 

 

 


文句も言わず…じっと聴いてくれていた……

 

 

 

 


いつもルフィに……

 

 

 

 


ルフィのために歌ってあげていたように…歌いたいのに…………

 

 

 

 


どうしてもいやな考えが浮かんでくる……

 

 

 

 


ウタ「それぞれにぃ…しあわ……せ…をめざし……」

 

 

 

 


もう…………

 

 

 

 


ルフィと…同じものを食べることも……

 

 

 

 


ウタ「きずついても…それでも…てを…ウゥ……のばすよ……ウゥゥ……」

 

 

 

 


同じ道を歩くことも………

 

 

 

 


ウタ「…か……かなしみも…つ………つよさにかわるなら……グスッ…」

 

 

 

 


たまに勝負することも………

 

 

 

 


ウタ「あれ…くるあらしもこえて…………ウゥ……」

 

 

 

 


ウタ「…グスッ…ヒグッ…………ウゥ…」

 

 

 

 


ウタ「………い………………いけるはず…」

 

 

 

 


一緒に寝ることも……………できない………

 

 

 

 


ウタ「……しんじる…そのたびのはてで…また………グスッ……あいたい…」

 

 

 

 


ルフィに…歌ってあげられるのも……これが最後…………

 

 

 

 


ウタ「……めざめたまま…みるゆめ………けしてさめはしな…ぁぁい……」

 

 

 

 


そうだ………

 

 

 

 


ウタ「すい…へいせんのかなた……そのかげにてをふるよ……」

 

 

 

 


これが最後なんだ………

 

 

 

 


ウタ「いつまでもあなたへ………とどくよお……にうたうわ……」

 

 

 

 


最後に届ける歌が…こんなのなんていやだ……

 

 

 

 


私が得意なのは……

 

 

 

 


人のためにできることは………

 

 

 

 


喜んでもらえるのは…………

 

 

 

 


歌を歌うこと……!!

 

 

 

 


ウタ「おおきく…ひろげたほが……まとう…あおいかぜ…になれ……!」

 

 

 

 


ウタ「グスッ………」

 

 

 

 


一番大切 ルフィな人のために………

 

 

 

 


私の……全身全霊の歌を……!!!

 

 

 

 


ウタ「ただひとつのゆめ…!だ…だれもうばえ…!なぁぁぁい……!」

 

 

 

 


ウタ「わたしがきえさっても…!ゴホッ…うたはひびきつづける…!」

 

 

 

 


ウタ「どこまでも…!あなた ルフィへ…!とどくように……うたうわ…!」

 

 

 

 


ウタ「おおうなばらをかける…!あた…らしいかぜ……になれ…!」

 

 

 

 


ウタ「ooh……」

 

 

 

 


ウタ「……グスッ……グスッ………」

 


ルフィ「ありがとう。ウタ」ニコッ…

 


ウタ「…!」

 


ルフィは…………

 


どこまでも…優しかった……………

 


ウタ「…どういたしまして…………ルフィ……」

 


ウタ「おやすみなさい……」

 


ルフィ「ああ……おやすみ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ありがとう………ルフィ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン……

 


ウタ「……ン……」パチッ…

 


…朝………

 


ウタ「……………」

 


ウタ「!」

 


ガバッ!

 


ルフィ…!ルフィは…!?

 


ウタ「…!」

 


ウタ「……う……うぅ………」

 


ウタ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 


喉から血が出るほどに………

 

 

 

 


ウタは泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日にシャンクスたちが訪ねて来なかったら…どうなっていたかわからない……

 


さらにその次の日、ルフィの葬儀が行われた。

 


参列したのは皮肉なことに、数ヶ月前の結婚式に出席したメンバーだった。

 


墓の場所はウタが決め、あの丘に建てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタを心配したシャンクスは、船に乗るように言ったが、ウタは断った。

 


ルフィとの思い出がある家やこの島、そして…墓を離れたくないと……

 


なにより……ウタはもう……船で航海をする気力はなかった……

 


それならばと赤髪海賊団はフーシャ村に住むことにした。

 


一味や友達もウタを心配し、会いに来てくれる頻度を増やしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サァァァァァ……

 

 

 

 


パサッ…

 

 

 

 


ウタ「…………」

 

 

 

 


ウタは今日も墓参りをしていた。

 

 

 

 


毎日………毎日………

 

 

 

 


花を摘んで………

 

 

 

 


ポロポロ…

 

 

 

 


ウタ「…う…うぅ………」

 

 

 

 


——ルフィ「うんめェ〜!ウタ料理上手だな!」

 

 

 

 


——ルフィ「いまのはずりぃぞ、ウタ!」

 

 

 

 


——ルフィ「にしし!似合ってんぞ、ウタ!」ニカッ!

 

 

 

 


ウタ「……グスッ………ルフィ………」

 

 

 

 


—— ルフィ「おれはずっとお前のそばにいる…!」

 

 

 

 


ウタ「!」

 

 

 

 


そうだ………

 

 

 

 


ルフィは…きっと………

 

 

 

 


私を見守ってくれてる……

 

 

 

 


いつまでも泣いてちゃ……

 

 

 

 


悲しんでちゃ………

 

 

 

 


ルフィを心配させてしまう…!

 

 

 

 


私はひとりじゃない…!

 

 

 

 


いつだってそばにルフィがいてくれてる…!

 

 

 

 


見守ってくれてる…!

 

 

 

 


だから大丈夫。

 

 

 

 


大丈夫だよ………ルフィ…………

 

 

 

 


ウタ「……………」ニコッ…

 

 

 

 


サァァァァァァァァ………

 

 

 

 


ウタ「……………この風は……」

 

 

 

 


ウタ「どこからきたのと……」

 

 

 

 


ウタ「問いかけても……」

 

 

 

 


ウタ「空は何も言わない……」

 

 

 

 


ウタ「……この歌は……」

 

 

 

 


ウタ「どこへ辿り着くの」

 

 

 

 


ウタ「見つけたいよ」

 

 

 

 


ウタ「自分だけの答えを………」

 

 

 

 


ウタ「……まだ知らない海の果てへと」

 

 

 

 


ウタ「漕ぎ出そう……!」

 

 

 

 


そうだ……!

 

 

 

 


ルフィは私の歌が好きだった。

 

 

 

 


—— ルフィ「歌を歌っているときのウタはなによりも輝いていて綺麗だ」

 

 

 

 


これから毎日……ルフィのために…歌を歌いにこよう…!

 

 

 

 


ウタ「ただひとつの夢♪」

 

 

 

 


ウタ「決して譲れない♪」

 

 

 

 


ウタ「心に帆を揚げて♪」

 

 

 

 


ウタ「願いのまま進め♪」

 

 

 

 


ウタ「いつだって あなた ルフィへ♪」

 

 

 

 


ウタ「届くように♪」

 

 

 

 


ウタ「歌うわ♪」

 

 

 

 


ウタ「大海原を駆ける♪」

 

 

 

 


ウタ「新しい風になれ♪」

 

 

 

 


ウタは次第に、光の粒子を纏っていた。

 

 

 

 


ウタ「それぞれに♫」

 

 

 

 


ウタ「幸せを目指し♫」

 

 

 

 


ウタ「傷ついても それでも 手を伸ばすよ♫」

 

 

 

 


ウタ「悲しみも 強さに変わるなら♫」

 

 

 

 


ウタ「荒れ狂う嵐も超えていけるはず♫」

 

 

 

 


ウタ「信じるその旅の果てで また 会いたい♫」

 

 

 

 


サァァァァァ……

 

 

 

 


ウタの歌声に倣うように、優しく…穏やかな海風が吹く…

 

 

 

 


ウタ「目覚めたまま見る夢♫」

 

 

 

 


ウタ「決して醒めはしない♫」

 

 

 

 


ウタ「水平線の彼方♫」

 

 

 

 


ウタ「その影に手を振るよ♫」

 

 

 

 


ウタ「いつまでも あなた ルフィへ♫」

 

 

 

 


ウタ「届くように 歌うわ♫」

 

 

 

 


ウタ「大きく広げた帆が♫」

 

 

 

 


ウタ「纏う 青い風になれ♫」

 

 

 

 


その歌声は風になり………

 

 

 

 


どこまでも…………

 

 

 

 


どこまでも響き渡る。

 

 

 

 


ウタ「ただひとつの夢♬」

 

 

 

 


ウタ「誰も奪えない♬」

 

 

 

 


ウタ「私が消え去っても♬」

 

 

 

 


ウタ「歌は響き続ける♬」

 

 

 

 


ウタ「どこまでも あなた ルフィへ♬」

 

 

 

 


ウタ「届くように 歌うわ♬」

 

 

 

 


ウタ「大海原を駆ける♬」

 

 

 

 


ウタ「新しい風になれ♬」

 

 

 

 


ウタ「ooh♬」

 

 

 

 


サァァァァァ……

 

 

 

 


もう……迷いはない…

 

 

 

 


ウタ「ルフィ………また明日……」

 

 

 

 


スクッ……

 

 

 

 


スタスタ……

 

 

 

 


ルフィは………私のそばにいて……

 

 

 

 


見守ってくれているから…!

 

 

 

 


ウタ「ふふっ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「ウタ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「!」

 

 

 

 


クルッ…

 

 

 

 


ウタ「……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウタ「ルフィ…!」ポロッ…