L×U

様々な知識や小説、日記を投稿します。

小説『もしもウタがルフィの船に乗ったら』

 

 

 


——この風は どこからきたのと

 


——問いかけても 空は何も言わない

 

 

 

——この歌は どこへ辿り着くの

 


——見つけたいよ 自分だけの答えを

 


——まだ知らない海の果てへと 漕ぎ出そう

 

 

 

——ただひとつの夢 決して譲れない

 


——心に帆を揚げて 願いのまま進め

 


——いつだって あなたへ 届くように 歌うわ

 


——大海原を駆ける 新しい風になれ

 

 

 

——それぞれに 幸せを目指し

 


——傷ついても それでも 手を伸ばすよ

 

 

 

——悲しみも強さに変わるなら

 


——荒れ狂う嵐も越えていけるはず

 


——信じるその旅の果てで また 会いたい

 

 

 

——目覚めたまま見る夢 決して醒めはしない

 


——水平線の彼方 その影に手を振るよ

 


——いつまでも あなたへ 届くように 歌うわ

 


——大きく広げた帆が 纏う 青い風になれ

 

 

 

——ただひとつの夢 誰も奪えない

 


——私が消え去っても 歌は響き続ける

 


——どこまでも あなたへ 届くように 歌うわ

 


——大海原を駆ける 新しい風になれ

 

 

 

 


ザザァァァァァ……

 


ルフィ「…」

 


サニー号の船首に座っているルフィは、手を伸ばして話しかける。

 


ルフィ「おーい、サニー!…サニー…?」

 


返事はない。

 


ルフィ「…」

 


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ウタ「——」

 


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ルフィ「…」スクッ…

 


あの世界でウタに言われたことを思い出したルフィは立ち上がり、両手を上げると高らかに叫んだ。

 


ルフィ「海賊王に!おれはなる!」

 


大きく飛び上がり、全身を使って宣言したルフィは着地すると、「にーっしっしっしっし!」と笑った。

 


ゾロ「フッ…」

 


ナミ「ふふ」

 


ウソップ「へへっ」

 


サンジ「フッ…」

 


チョッパー「えへへ…」

 


ロビン「うふふ」

 


フランキー「アウ!」

 


ブルック「ヨホ」

 


ジンベエ「ワッハッハ!」

 


「…あんたさあ」

 


ルフィ「ん?」

 


「それいつも言ってるの?」

 


ルフィ「そうだ!昔、お前がいつも「私は新時代を作る女ウタ!」とか「みんなが自由になる新時代を、歌で作る女よ!」って言ってたからな!」

 


ウタ「そう…」

 


ルフィ「ああ!しししし!」

 


ウソップ「それにしてもよかったな〜!ウタが無事で!」

 


ブルック「本当です!解毒剤を飲んだんですよね」

 


ウタ「うん…。最初に渡されたのは割ったんだけど、予備があって」

 


ナミ「さすが、四皇の海賊団ね」

 


ウタ「でも…私生きてよかったのかな…」

 


ルフィ「当たり前だろ。この世に死んでいい奴なんていねえ」

 


ウタ「…」

 


ルフィ「俺、生きててくれて嬉しい」

 


ウタ「ありがとう…ルフィ」

 


ルフィ「ああ」

 


ウタ「私の代わりに、みんなが幸せになる新時代を作ってね」

 


ルフィ「ウタは?」

 


ウタ「私は…間違えて…作れなかったから…」

 


ルフィ「やり直せばいい」

 


ウタ「!」

 


ルフィ「俺も作るけど、お前も作れ」

 


ウタ「でも…」

 


ルフィ「あれが間違いだってわかってただろ?んで、どうすれば本当の新時代を作れるかもわかってる。他の奴に縛られずに、自分のやりたいようになればいい。自分が自由じゃなかったら、幸せじゃなかったら、他の奴を自由にも幸せにもできねえぞ」

 


ウタ「…そうだね」

 


ルフィ「ああ!ウタは絶対に新時代を作れる!俺も作る!競争だ!」

 


ウタ「……ふふっ!いいよ!勝負ね!今度も私が勝つから!」

 


ルフィ「しししし!負けねえ!」

 


ウタ「ふふふ!」スッ…

 


ウタは左手を出し、それに気づいたルフィは右手を出してクロスした。

 


ガッ!

 


そしてお互い、左手の拳を合わせる。

 


ルフィ「しししし!」

 


ウタ「にしししし!」

 


ルフィとウタは、再度「新時代を作る」という誓いを立てたのだった。