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小説『出航!』

 

 

 

 

 

 

ルフィはウタを説得することに成功した。

 


ルフィ「よーし!じゃあチョッパー!ウタを治せ!」ビシィ!

 


シーーーン…

 


ウタ「あ…あのねルフィ…この世界の私を治しても現実の私は治らないよ…」

 


ルフィ「…」

 


ルフィ「どうしよう!どうするみんな!」

 


ウソップ「うーん…」

 


バルトロメオ「ネズキノコの毒は解毒するの難しいんだべか?」

 


チョッパー「いいや、簡単だ。ちょうどバッグにも材料が入ってる」

 


サンジ「現実はどうなってるんだい?ウタちゃん」

 


ウタ「こうなってるよ」パァァァァ!

 


ウタは現実世界の幻影を作り出した。

 


ロビン「あら、ウタは私たちのすぐそばにいるのね」

 


ウタ「うん」

 


ナミ「じゃあチョッパーのバッグにある薬を飲めばいいんじゃない?」

 


チョッパー「いや、少し調合しないと」

 


ウタ「私、薬なんて作れないよ…」

 


ルフィ「チョッパーに見せてもらえ」

 


ウタ「そ、そうだね。…あ!私、操ることもできるよ!」

 


チョッパー「じゃあおれと同じように現実のおれを操って作ろう!」

 


ウタ「うん!」

 


チョッパーは薬の調合を始め、ウタはウタワールドのチョッパーとまったく同じに現実世界のチョッパーを操る。

 


チョッパー「ゆっくりいくからな」

 


ウタ「うん」

 


チョッパー「まずはこれと…これと…これと…これをだす」

 


ウタ「……うん」

 


チョッパー「ちゃんとだしたか?」

 


ウタ「うん。大丈夫」

 


チョッパー「じゃあ次は——

 

 

 

 


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数分後

 


チョッパー「これで完成だ!」

 


ウタ「……うん!こっちもできたよ!」

 


ルフィ「よっしゃ!すぐ飲めウタ!!」

 


ウタ「うん…あの…ルフィ…」

 


ルフィ「いいから飲むんだ」

 


ウタ「…うん」

 

 

 

 


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現実世界

 


ウタ「…」ゴクッ

 


ウタ「…」スッ

 


ウタは薬を飲み、ルフィのすぐ隣で横になってゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 


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チョッパー「…うん…?」パチ

 


チョッパーは目を覚ました。

 


空は薄暗い雲で覆われている。先程見ていた空ではなかったのでどうやら現実世界に帰って来れたようだった。

 


チョッパーは身を起こすとそこには眠っているウタを抱き抱えるルフィがいた。

 


チョッパー「ルフィ…!」

 


ルフィ「チョッパーおはよう。ウタをみてくれねえか」

 


チョッパー「ああ!」

 


チョッパーはウタの状態を調べ、そばに落ちていたビーカーの匂いを嗅いだ。

 


チョッパー「どうやらちゃんと薬は作れたようだ」

 


ルフィ「じゃあ…!」

 


チョッパー「ああ…!ウタは助かるぞ!」

 


ルフィ「よかった…!」

 


チョッパー「ただしきちんと安静にさせないと」

 


ルフィ「わかった」

 


ゴードン「ルフィ君…」

 


ルフィ「おっさん!」

 


ゴードン「ウタは…?」

 


ルフィ「大丈夫だ」

 


ゴードン「そうか…!」ホッ

 


ルフィ「おっさん、ウタの部屋に案内してくれ。こんなとこじゃなくてちゃんとベッドで寝かせたい」

 


ゴードン「わかった!すぐに案内しよう!」

 


ゾロ「ルフィ」

 


ルフィ「ん?…お前らも起きたのか!」

 


ウソップ「ルフィ…俺たちは…」

 


ルフィ「…」

 


ゾロ「俺たちは船に戻ってる」

 


ウソップ「え?」

 


ジンベエ「そうじゃのう。船で待ってるわい」

 


ルフィ「わかった。じゃあ…」

 


ゾロ「おう」

 


ウソップ「ゾロ…」

 


ゾロ「わざわざついて行くこともねえだろ」

 


ロビン「そうね」

 


ウソップ「まあ…そうだな」

 


ゾロ「さて、船で寝るか」

 


ウソップ「また寝るのかよ!」

 

 

 

 


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ウタの部屋

 


ルフィ「よいしょ…」

 


ルフィは起こさないように優しくウタをベッドに下ろし、布団をかける。

 


ルフィ「よし」

 


キィィィィ…パタン

 


静かにドアを閉めるとゴードンが話しかけてきた。

 


ゴードン「ルフィ君…ありがとう…ウタを救ってくれて…」

 


ルフィ「当たり前だ。ウタはおれの大切な友達だ」

 


ゴードン「本当にありがとう…君には感謝してもしたりない…」

 


ルフィ「ししし!」

 


ゴードン「なにかお礼がしたい…しかしこの国はもう滅んでしまっている…できることは少ないが…」

 


ルフィ「あ!じゃあ飯食わせてくれ!ウタの飯おっさんが作ってたんだろ?」

 


ゴードン「それならお安い御用だ!すぐに作ろう!」

 


ルフィ「あ…いや…ウタが起きるまで待つよ…」グゥゥゥ…

 


ゴードン「そうか…わかった」ニコ

 

 

 

 


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ウタ「…んう」パチ…

 


ウタ(…ここ…私の部屋…?…もしかして…いままでの夢…?)

 


ウタ「ゴホッ…」

 


ウタ(違う…体がだるい…夢じゃないんだ……ルフィは…?)

 


ウタは重い体を起こし、部屋を出て誰かいないか探す。

 


ウタ「誰か…誰かいない…?」

 


「———」

 


「———」

 


ウタ(食堂から声が…)

 


ガチャ

 


「「!」」

 


ウタ「あの…」

 


ルフィ「ウタ…!」

 


ゴードン「ウタ…起きたのか!」

 


ウタ「ルフィ…ゴードン…!」

 


ルフィ「よかった…!体は大丈夫か?」

 


ウタ「うん…思ったより…」

 


ルフィ「おっさんが飯作ってくれるって!腹減ったか?」

 


ウタ「お腹…空いたかな…!」

 


ルフィ「おっさん!作ってくれ!」

 


ゴードン「よし!ごちそうにしよう!」

 


ルフィ「うほーー!」

 


ウタ「ふふっ」

 

 

 

 


2時間後

 


ルフィ「プハー!美味かった!」

 


ゴードン「ゼェ…ゼェ…」

 


ウタ「ゴードン大丈夫?」

 


ゴードン「大丈夫だよ。ルフィ君はよく食べるね。いいことだ」

 


ルフィ「にししし!おっさんの飯美味かったぞ!」

 


ゴードン「ありがとう。………それにしても、やはりウタは行くんだな」

 


ウタ「うん…ルフィの船に乗るよ。ゴードンは?」

 


ゴードン「私はここに残るよ。なんとかエレジアを復興してみせる」

 


ウタ「そっか…」

 


ゴードン「体のほうは?」

 


ウタ「もうけっこうよくなってきた」

 


ゴードン「そうか…しかし今日はもう遅い。船を出すのは明日でいいかな?」

 


ルフィ「おう!いいぞ!」

 


ゴードン「ありがとう。ウタは体のために早く寝なさい」

 


ウタ「うん」

 

 

 

 


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ウタの部屋

 


ウタ(……眠れない)

 


こんなことはよくあった。

 


ゴードンがいるとはいえ、歌のレッスンや食事のとき以外はほぼひとり。

 


部屋もベッドもひとりでは広すぎるため、余計に孤独を感じていた。

 


ウタ「…」ムクッ

 

 

 

 


ルフィ「」ムシャムシャムシャ

 


ルフィは夜中、食糧庫にある物を食べていた。

 


ウタ「ルフィ…」

 


ルフィ「!」ビクッ!

 


ルフィ「なんだ…ウタか…どうした…?」

 


ウタ「ちょっと眠れなくて…」

 


ルフィ「…」

 


ウタ「一緒に寝てくれない?」

 


ルフィ「ん〜…わかった」

 


ウタ「ありがとう」

 

 

 

 


ベッド

 


ウタ「…」

 


ルフィ「…」

 


ウタ「ルフィ…」

 


ルフィ「ん?」

 


ウタ「ありがとね…助けてくれて…」

 


ルフィ「そんなの当たり前だろ…」

 


ウタ「ありがとう…」

 


ルフィ「…ああ」

 


ウタ「冒険楽しい?」

 


ルフィ「ああ。いろんなもん見たり、いろんなもん食ったり、いろんなやつに会ったりする」

 


ウタ「そっか」

 


ルフィ「ウタもこれから冒険するんだ。俺たちが連れてってやる」

 


ウタ「ルフィの友達…私を許してくれるかな…」

 


ルフィ「誰も気にしてねえよ」

 


ウタ「ほんと…?」

 


ルフィ「ほんとだ。俺の仲間にそんな奴はいない」

 


ウタ「そっか…」

 


ルフィ「ああ…」

 


ウタ「…」

 


ルフィ「…」

 


ウタ「ルフィ…抱きしめてくれない…?安心するから…」

 


ルフィ「わかった」

 


ぎゅっ

 


ウタ「あったかい…」

 


ルフィ「ウタもあったけえぞ」

 


ウタ「そう?」

 


ルフィ「ああ」

 


ウタ「…」

 


ルフィ「…なあウタ…ひとりで抱え込むなよ…?困ったことがあるなら言ってくれ…俺が助けるから」

 


ウタ「うん…ありがとう…ルフィ…」

 


ルフィ「おう」

 


ウタ「…」ウトウト

 


ルフィ「眠くなったのか…」

 


ウタ「…ん…」

 


ルフィ「おやすみウタ…」

 


ウタ「おやすみ…ルフィ…」

 

 

 

 


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翌朝 サニー号

 


ウソップ「…ん?…おい!来たぞ!」

 


ゾロ「フッ」

 


サンジ「ウタちゃん…無事だったんだな…」ホッ

 


チョッパー「よかっだー」

 


ロビン「ウタ元気そうね」

 


ナミ「ほんと!」

 


ブルック「ルフィさんとゴードンさん荷物持ってますね…」

 


フランキー「ウタ、船に乗るんじゃねえのか?」

 


ジンベエ「わっはっは!賑やかになるのう!」

 


ルフィ、ウタ、ゴードンはサニー号に着いた。

 


ウタ「じゃあ…ゴードン…私、行くね…!」

 


ゴードン「ああ…!…すまなかったウタ…。私は君に何も…」

 


ウタ「うんん。私に音楽のことたくさん教えてくれた。それにずっと私のことを気遣ってくれてた。ありがとう」

 


ゴードン「ウタ…」

 


ルフィ「しし!」

 


ゴードン「ルフィ君…何度も言うが本当にありがとう。ウタを救ってくれて。それにウタをこの広い世界に連れ出してくれる。私はウタに音楽のことしか教えることができなかったがこれでさまざまな経験をすることができる。夢を誓い合った君と一緒に居れば、ウタは自分を見失わずに本当の新時代を作れるだろう。私が言えた義理ではないかも知れないが…どうかウタを…よろしく頼む…!」

 


ウタ「ゴードン…」

 


ルフィ「ああ!!任せろ!ウタは絶対に俺が守る!!」

 


ゴードン「ありがとう…!」

 


ルフィ「おう!!」

 


ゴードン「ウタ…これだけは覚えてくれ」

 


ウタ「?」

 


ゴードン「私はただ音楽に関する知識や技術を教えただけだ。しかし、私がこれまで教えてきたことやウタウタの実の能力に関係なく、君の歌声自体に本当の価値がある。君の歌声は世界中を幸せにする力を持っているんだ…!それだけは忘れないでほしい」

 


ウタ「ゴードン…!」ウルッ

 


ゴードン「では…もう行きなさい…君自身が幸せになれることを願っている…!」

 


ウタ「ゴードン!」ギュッ

 


ゴードン「ウタ…!」

 


ウタ「ありがとうゴードン。いままで私を育ててくれて。たくさん迷惑をかけちゃった…ずっと落ち込んでいる私を元気づけようとしてくれてありがとう。まともに口を聞けなかったけど、ゴードンの愛は伝わってたよ…!」

 


ゴードン「ウタぁ…!」ポロ

 


ウタ「ほんとうに今までありがとね…!行ってきます!私のもうひとりのお父さん!」ニコ

 


ゴードン「うぁぁぁぁ…!」ブワッ

 

 

 

 


ルフィ「よし!野郎ども!!出航だーーー!!!」

 


「「「「おーーー!!!」」」」

 


ゴードン「ウタ…元気で…」

 


おしまい。